救急医療システム、目立つ更新遅れ 「即時に」東北ゼロ

 救急搬送に関する総務省消防庁の検討会作業部会が14日開かれ、病院の空きベッド状況などを消防本部が把握するための「救急医療情報システム」に情報を入力している全国4358救急病院のうち、即時に更新しているのは11%の485病院にとどまるとした総務省消防庁の調査結果が報告された。

 病院の人手不足などが背景とみられるが、昨年秋の調査では約53%の消防本部が、リアルタイム情報でないなどの理由でシステムを利用していないことも判明。これらを受け作業部会は同日、病院による入力状況などを検証する機関の設置などを提言した中間報告の素案をまとめた。中間報告は3月に決定する。

 救急医療情報システムは都道府県ごとに整備され、急患をスムーズに搬送するため、病院側が空きベッドや診療科目、手術の可否などをコンピューター入力して消防機関に提供する仕組み。調査は、システム未整備の山形、島根、沖縄を除く44都道府県の2月1日現在の状況をまとめた。

 調査結果によると、更新頻度別では「1日2回」が最も多く31%の1344、次いで「1日1回」が29%の1260だった。「1日3回以上」は4%の162。「1日1回も更新していない」は25%の1007病院もあった。

 即時更新の485病院のうち、69%の337が東京都の病院で、東北の病院はゼロだった。

 また、東北では更新頻度が「1日3回以上」は宮城の8病院、福島の1病院にとどまった。「1日1回も更新していない」のは青森19病院、岩手11病院、宮城24病院、秋田9病院で20―32%に上り、福島の病院はなかった。

 中間報告素案の入力検証機関は、病院や消防本部、自治体の関係者で構成し、都道府県ごとに設置。システムの情報更新頻度や救急患者の受け入れ拒否の事例などをチェックし、システムの運用方法の改善に役立てる。

[救急医療情報システム]1960年代後半から交通事故被害者などが搬送先の病院で治療を断られる「たらい回し」が相次いだのを受け、都道府県が救急医療対策事業の一環で70年代後半から整備。国からは運営費の一部が助成され、2006年度は44都道府県に対して総額18億円が交付された。病院への端末設置など管理運営を地元医師会に委託しているケースも多い。総務省消防庁の有識者検討会の作業部会がシステムの運用改善策を検討している。
2008年02月14日木曜日

広域

社会



河北新報携帯サイト

QRコード

東北のニュースが携帯でも読める。楽天・東北のスポーツ情報も満載。

≫詳しくはこちら

http://jyoho.kahoku.co.jp/mb/