まさかこんなことになるとは。昨年の春先。私(50)のことだ。朝起きるのがつらい。月曜は特にひどい。会社に行きたくない。仕事がこなせない。できなかったらどうしよう。会社を辞める。家族はどうなる。自殺…まさか。
そんな考えが頭の中をぐるぐる回る。酒を飲めば消えるが、朝になるとぶり返してくる。そんなとき管理職のメンタルヘルスの研修があった。部下が「うつ」などで悩んでいたときの対処の仕方を学ぶことになり、臨床心理士と面談した。
「私はうつ病ではないでしょうか」。部下よりも自分が心配だった。症状を伝えると、女性の先生はそれを解消するために何かしているかと聞く。山に登ると精神状態が洗濯したように晴れやかになる、と答えた。先生から「そういう人は大丈夫」といわれた。
食欲がなくなる、眠れない、熱が出るなど通常の生活に異変があるなら、病気の可能性もあるという。風邪に似た症状がでることもあるそうだ。担当していた大仕事にひと区切りがつき、できるだけ山に登るようにしていたら改善された。
うつ病など心の病が会社社会で増えている。財団法人社会経済生産性本部(東京)の二〇〇六年の調査では、上場企業二千百五十社のうち六割以上の会社が「増加傾向」と回答。年齢は三十代に集中する。八千人が働く義弟の会社は百人がうつ病状態だそうだ。
私は「山」というリフレッシュの場があって救われた。だれが、いつ心の病になるか分からない怖さが今の時代にはある。
(地域活動部・赤田貞治)