三十年ほど前、大分県で始まった「一村一品運動」が世界に広がっている。各地域ごとに一つの特産品を育て、産業振興を図る取り組みである。
資源と人材を集中させる手法が成果を上げ、タイや中国などにも普及している。今夏の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)では、アフリカなどの開発に生かすことも議論される。
運動は物づくりにとどまらない。「一村一文化」「一村一観光」なども生まれ、分野は多様化している。地球温暖化防止に向けた二酸化炭素(CO2)削減活動にも導入され、環境省主催の「ストップ温暖化『一村一品』大作戦全国大会」が先日、東京で初めて開催された。
各地の企業や学校などから約千件の応募があり、優れた活動が表彰された。最優秀賞は京都府の高校が取り組む「地元の木を使って『ウッドマイレージ』を減らそう!」。木材輸送距離(ウッドマイレージ)は地産地消によってCO2排出を削減するとし、地元産の木でログハウスなどを製作している。
金賞には市役所前の川に設けた水車で発電する山梨県都留市が選ばれた。「一村一品運動」を提唱した元大分県知事の平松守彦さんは自著「わたしの地域おこし 地方のCI戦略」で、運動の本質は実践を通じて地域にやる気を起こさせることだと説く。
環境分野の拡大は進むか。それは地域のやる気にかかっている。