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救急搬送受け入れまでに要請20回以上320件 大阪市

2008年02月14日

 救急搬送される患者の受け入れ拒否が全国的に相次いでいる問題で、大阪市消防局は14日、患者の受け入れまでに医療機関に20回以上要請を繰り返した例が、07年1年間に320件に上ったと発表した。前年比3.1倍に急増しており、うち2人は、病院到着直後に死亡が確認された。

 06年に奈良県で19病院に搬送を断られた妊婦が8日後に死亡したことを受け、同年からすべての救急出動で病院搬送までに20回以上の要請をした件数を独自に調査した。

 死亡した2人は、07年4月に自宅で吐血した80代の女性(搬送要請26回)と同年6月に自宅マンションから転落した30代の男性(同40回)。いずれも病院到着直後に死亡が確認されているが、救急車に収容された時点で重篤な状態だったため、搬送の遅れと死亡の因果関係は不明という。

 搬送先の確保が困難だったのは、飲酒▽多量の薬物を服用▽2領域にわたる診療が必要▽精神疾患の症状がある▽吐血や下血がある――が重なるなど、対応が困難とされるケースが多かった。

 搬送拒否は深夜〜明け方に集中していた。病院に到着するまでの平均時間は91.7分だった。

 この1年間で拒否が激増した理由について市消防局は「直接の原因はわからない」としているが、大阪府内の救急病院で働く医師は「ここ1年、府下で救急医療に携わる医師が激減しているうえ、受け皿となる大学病院の数も東京に比べて少ない」と分析している。

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