民間版ドクターヘリ導入を計画していた医療法人財団「池友会(ちゆうかい)」(本部・北九州市、蒲池真澄会長)が、福岡県宗像市の旧玄海町庁舎跡地を買い取ってヘリコプター基地を建設し、6月から運航することが分かった。離島やへき地の緊急医療サービスの向上が目的で、池友会によると、民間病院が独自に取り組むのは離島が多い沖縄県以外では初めて。
基地は玄界灘を望む約2万8100平方メートルに設置。将来は診療所などの併設も検討している。旧庁舎は旧玄海町庁舎で、宗像市との合併後も市の一部部署が置かれていたが、06年末に廃止。市が1億7350万円で購入者を募っていた。
ヘリポート、格納庫、医師らの待機所を整備し、医師、看護師、操縦士、整備士が常駐する。運用時間は午前9時~午後5時の予定で、年間250回程度の出動を見込む。ヘリはドイツ製で、巡航速度230キロ、最大航続距離635キロ。年1億7000万円でリース契約を結んだ。運航と整備は外部委託する。
飛行範囲は、同会が福岡県内で運営する救急病院の福岡和白(福岡市)▽新小文字(北九州市)▽福岡新水巻(水巻町)▽新行橋(行橋市)--の拠点4病院から無給油飛行可能な半径約250キロ。
軽症者を含む患者や危険性の高い妊婦らが対象で、医療機関からの要請に応じ出動する。患者には医療保険対象の費用以外の負担はない。【中原剛】
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■ことば
◇ドクターヘリ
災害などで重症患者が発生した現場に医師と看護師を派遣し、初期治療を施す。厚生労働省が認可。運用費は年約1億7000万円を上限に国と都道府県が半額ずつ補助するが、九州での運用は久留米大学病院(福岡県)と長崎医療センター(長崎県)の2カ所だけ。全国でも13道府県の14病院にとどまる。
毎日新聞 2008年2月14日 西部夕刊