日本プライマリ・ケア学会の専門医として幅広い診療を行う医療法人母恋北海道家庭医療学センター所長の草場鉄周氏は2月13日、厚生労働省の「医道審議会医道分科会診療科名標榜部会」(座長=金澤一郎日本学術会議会長)が実施した「総合医」についてのヒアリングに対し、「この分野を目指してもやっていけるかどうか迷っている医学生が、『学会認定の専門医で、標榜は総合科』と自信を持って名乗れる時代を期待する」と述べ、総合科の設置を要望した。
草場氏は大学卒業後、総合病院で心と体のバランスを配慮して総合的に診療するコースの研修を受け、子どもから高齢者までを幅広く診療している現在の実践を紹介。しかし、日本プライマリ・ケア学会の専門医に合格したものの広告できず、標榜科も内科や小児科に限定されているため患者にも説明しにくいなど、「学術的にも法的にも認知されていない」と現状を訴えた。こうした現状が総合的な診療に興味を持った学生に専門科目を選択する進路を選ばせてしまうなど、総合的に診る医師の育成を阻んでいるとした。「医療法で総合科を位置付け、診療科として標榜できるように制度化してほしい」と要望した。
東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授の大内尉義氏もヒアリングの参考人として出席。「高齢者の医学的問題は臓器別医療では解決できない」とした上で、高齢者人口の増加に伴い、患者に必要な医療や介護、福祉の流れを計画できる総合医のニーズが今後高まると指摘した。「高齢者総合診療科」の創設を提案し、総合医の育成の検討を求めた。
患者の主訴や臓器別でなく、心と体のバランスを考えながらトータルに診療する「総合科」や「総合医」は、厚労省が設置を目指して同部会で議論を続けているが、各学会や医師会などの反発が強いため、今回は各方面からの意見を聞くためにヒアリングを実施した。
更新:2008/02/14 18:50 キャリアブレイン
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08/01/25配信
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。