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女子中学生暴行:切り札ミュージックタウンが事件の起点に

女子中学生暴行事件の起点となったコザ・ミュージックタウン=沖縄市で、野田武撮影
女子中学生暴行事件の起点となったコザ・ミュージックタウン=沖縄市で、野田武撮影

 強姦(ごうかん)容疑で逮捕された米海兵隊2曹、タイロン・ハドナット容疑者(38)が女子中学生(14)に声をかけたのは、音楽スタジオやライブハウスがある「コザ・ミュージックタウン」の前だった。市中心部の空洞化に頭を痛める沖縄市が音楽を通して活性化を図ろうと建設した施設。「街に活気を取り戻す起爆剤に」と期待された希望の象徴が、皮肉にも事件の起点となった。 

 「米兵から『ハーイ』と声をかけられることはよくある」。13日、夕闇が迫るミュージックタウン前で、中学3年の女子生徒(15)は言った。2年生の女子生徒(14)も「米兵は気さくで、あまり怖いという印象がない」と話した。

 米空軍嘉手納基地を抱える沖縄市は、基地とともに発展した街。ベトナム戦争当時は、戦場に赴こうとする米兵、そして戦場で傷ついた帰還兵を、地元の伝説的ロックバンド「コンディショングリーン」や「紫」が音楽で癒やした。若者たちに米兵への抵抗感が少ないのも、そんな歴史があるからだ。

 その基地の街は今、基地返還地に新たに生まれた北谷(ちゃたん)町の商業施設「ハンビータウン」や「美浜アメリカンビレッジ」に観光客が流れ、かつてにぎわった中心商店街はシャッター通りと化している。

 その街を再び音楽で盛り上げようと昨年7月に市などがオープンさせたのがミュージックタウン。週末には、若い米兵や家族連れなどがライブや食事を楽しむようになってきていた。

 近くの商店街の男性(41)は「ミュージックタウンができて、バーに散っていた米兵が集まるようになった。事件はそれが裏目に出た。米軍は兵隊に教育を徹底すると言うが、上が言うだけで兵隊はそんなに変わらないと思う」と、怒りの中にあきらめをにじませた。

 中学生の息子がいるという主婦(49)は「事件は許せない。息子には午後8時には帰宅するように言っている」と話した。一方で「基地がなくなれば多くの地元の人が職を失うことになる。今まで通り共存していくことはできないものか」とも漏らした。【長澤潤一郎】

毎日新聞 2008年2月14日 13時38分 (最終更新時間 2月14日 14時42分)

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