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今回の研究は、米国の小児病院3カ所での小児科研修医123人を対象に実施されたもので、研修医の20%がうつ状態、74%が燃え尽き(burnout)状態であることが判明した。研究期間中、研修医全体で45件の投薬ミスが発生しており、うつ状態の研修医は、そうでない研修医よりも6.2倍の投薬ミスをしていた。投薬ミスの比率と燃え尽き状態との間には、関連はみられなかったという。
この知見から、患者の安全のためには、これまで考えられていた以上に医師の精神面での健康(メンタルヘルス)が重要であることが示されると研究著者らは述べている。さらに、研修医に高い比率で燃え尽き状態が認められたことから、研修の方法がストレスを生み、研修医の健康を害していることも示された。ただし、今回のデータは、米国で研修医の勤務時間制限が施行される前に収集したものであるという。
米国では年間9万8,000人もの患者が投薬ミスによって死亡しており、ミスが発生する理由として、睡眠や余暇の不足などによる研修医のストレスがよく挙げられている。投薬ミスと医師のうつ状態および燃え尽き状態を結びつけるのは、理にかなっていると思われるが、今回の結果は決定的なものではないと研究グループは述べており、投薬ミスを引き起こす要因を突き止めるには、大規模な前向き(プロスペクティブ)試験が必要としている。(HealthDay News 2月8日)
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