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廃業に終わった世界初のクローン・ペット・ビジネス - 米国

  • 2006年10月15日 15:24 発信地:米国
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写真は世界初のクローン・ネコ「Cc」(2002年2月15日撮影)。(c)AFP

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【サンフランシスコ/米国 15日 AFP】世界で初めてクローン猫を提供した米バイオテクノロジー企業ジェネティック・セービングズ・アンド・クローン(Genetic Savings and Clone)のクローン・ペットショップが、業績不振のため廃業した。

■クローン猫、2002年2月に誕生

 廃業にあたり、同社は保管していた顧客ペットの「遺伝子銀行」を、バイオテクロノジー大手のバイアジェン (ViaGen)社に譲渡しようとしたとみられる。バイアジェン社は遺伝子の保管のみを行っており、ペットのクローンを生産する計画は持っていない、と業界に詳しい関係者はAFPに語った。
 サンフランシスコ対岸サウサリート(Sausalito)にあるジェネティック・セービングズの電話は、報道陣には接触しないという旨の留守番メッセージとなっている。また、バイアジェン社はこの件についてコメントを避けている。

 同社は2000年に大富豪のジョン・スパーリング(John Sperling)氏が設立。スパーリング氏は、1996年にスコットランドで初めて成功した哺乳動物のクローン「羊のドリー」にヒントを得て、自らの愛犬ミッシーのクローンを作ろうと会社設立を決めた。
 ジェネティック・セービングズが世界初のクローン猫を発表したのは、2002年2月。同時に犬のクローンも可能だと主張していた。
 しかし、羊のドリーは270頭の実験を経てからの成功例であり、またクローン技術のベンチャー・ビジネス化は倫理的、実践的に多くの問題をはらんでいることから、設立当初より科学者らは事業の見通しに疑念を呈していた。
 実際、ジェネティック・セービングズは2004年、死を目前にしたペットの遺伝子の複製を1匹5万ドル(約598万円)で飼い主たちに提供したが、2005年には2万ドル(約240万円)まで下がっていた。

■クローン・ペットショップ失敗を喜ぶ

 初のペット・クローン会社の事業失敗は、全米人道協会(US Humane Society)などの動物愛護団体にとっては明るいニュースだ。
 同協会のWayne Pacelle会長は次のように話す。
「クローン・ペットの需要がほとんどないのは当たり前。ジェネティック・セービングズのクローン・ペットショップが大失敗に終わったと知り、大変喜んでいます。そもそも需要がないうえに、実験的で非人間的な新製品開発のためにエンジニアが努力を強いるいわれもない」
 Pacelle会長によれば、クローンペットは短命であったり、著しい奇形がみられるものが多いという。

 遺伝子操作を行ったペット販売やクローンを禁止する法案を提出したカリフォルニア州のロイド・レバイン(Lloyd Levine)議員は、「世論が同社のクローン・ペット・ビジネスを、全面的に否定した表れだ。全国の動物保護施設には、引き取り手を待つ、健康な犬や猫がたくさんいます。ペットのクローンなどはまったく必要とされていないのです」と、ほほえみながら話した。

 写真は世界初のクローン・ネコ「Cc」(2002年2月15日撮影)。(c)AFP

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