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【コラム】南大門のフェンスを撤去し、恥をさらけ出せ(上)

 いっそのこと、1970年代のように「南の社会を動揺させるため送り込まれた北のスパイが起こした事件」だとか、「海外のテロ集団が密入国し起こした事件」だったなら、これほどまでに恥ずかしくも、虚しくもなかっただろうに。大韓民国国宝第1号の崇礼門(南大門)が全焼したというニュースは「青天のへきれき」だったが、容疑者が昌慶宮に放火した前科のある69歳の男だったという事実は「恥辱」そのものだ。男が崇礼門を全焼させるには、脚立1台、シンナー1.5リットル、そしてライター1個で十分だった。下調べを2回したというが、「事前に綿密に準備した」というにはお粗末すぎる。精神的な病や悩みを抱えた人物が決心さえすれば、いつ、どこでもすぐに放火でき、国宝を廃虚に変えられるのが韓国だ。

 「ろうそくデモと共に大統領になり、大火災と共に大統領職を去る」と現大統領を揶揄(やゆ)する人、「新大統領が成功する兆しなのか、それとも失敗する兆しなのか、不安だ」という人…。だが、これは大統領の「運」の問題ではなく、我ら大韓民国の「危機管理レベル」の目安に過ぎない。

 1930年代、米国のある保険会社社員は「顧客との面談で労働災害が1件明らかになれば、同じ理由で軽傷を負った人が29人、災害の1歩手前まで経験した人は300人いる」という「1対29対300の法則」を発見した。これをこの社員の名字にちなんで「ハインリッヒの法則」という。明らかになった1件の事故は、潜在的な事故329件の「氷山の一角」に過ぎないという意味だ。つまり「南大門火災」は、数多くの「デタラメ」のうちの一つなのだ。

 「デタラメ」を生み出す人々は、そのデタラメをまた別のデタラメで覆い隠すのも上手だ。火事の翌日、現場には高さ6メートルの仮設フェンスが設置されたのに続き、13日には15メートルの二重フェンスが設置される。徐々に確実に見えなくなる。こうした行動は素早いものだ。

エンターテインメント部=パク・ウンジュ部長

【ニュース特集】ソウルのシンボル・南大門焼失

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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