医師確保対策を「非常に重要な課題」(村井仁知事)と位置づける県は、07年度当初予算比で約3倍にあたる2億6900億円を計上した。確保策と職場改善の二つが柱だ。
確保策では小児医療後期臨床研修推進事業(6700万円)が新規事業。県立こども病院(安曇野市)で、専従指導役のベテラン医師を置いて体制を充実。研修医受け入れは07年度から4倍増の8人を目指し、研修医を小児科医の不足する医療機関にも派遣する計画だ。ドクターバンク制度や研究資金の貸与も拡充した。環境改善面では、負担軽減のためワークシェアリング推進を支援する(2000万円)。女性医師の復職支援や、夜間緊急時の子ども預かり支援事業も始める。
ドクターバンクには今年度8人が登録し、複数の医師の勤務が決まった。一定の成果は表れたが、病院側の求人数は依然300人以上にもなり、医師不足解消は容易ではない。医師確保対策室も「登録してもらうだけでも大変」と話す。村井知事は「制度的な裏打ちだけでは物事は動かない」として、2月に新設した同室を活用して、さまざまなアプローチを試みる意向だ。【神崎修一】
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総額で2年ぶりに減少となった県の08年度予算案。「集中と選択」をキーワードに、限られた財源は、医師確保対策など喫緊の課題に手厚く配分された。村井県政の2度目の予算編成を点検、検証する。
毎日新聞 2008年2月14日