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食の安全は何処に 中国製ギョーザ中毒事件を受けて 中国製ギョーザの中毒事件を受け、鳥取県内でも「食の安全」に対する意識が高まっている。消費者は何を求め、食を提供する企業や行政は何を心掛ける必要があるのか。現場をリポートする。
2008/02/11の紙面より
【上】消費者の目
揺らぐ安心、信頼
夫婦共働き。夕食の準備は時間との勝負だ。焼くだけの処理済み冷凍魚、子どもたちの大好物のギョーザ…。手作りしたいという思いはあるが、会社から帰って一から作る時間はない。不安な気持ちのまま、「安全だと信じてこれからも加工品を使い続けるしかない」と表情がくもる。 事件発覚後、問題となった冷凍ギョーザや回収対象商品だけでなく、中国製品や冷凍食品全体に買い控えなどの影響が出ている。一方で国産食材や自宅での手作り志向、食品表示に対する関心が高まり、消費者自身が食品の品質を見極める「自己防衛力」が重要との指摘も増えた。だが、限界はある。 「外国産でも国内産でも、安くて安全なものを提供するのが企業の責任。その大前提があってこそ、消費者と信頼関係が築けるのではないか」(五十六歳男性)、「国産の有機野菜など値段も高く、経済的に無理」(四十三歳主婦)、「国産表示でも原材料は外国産。分かりやすい表示をしてほしい」(二十代主婦)−。消費者の声は重い。 とっとり県消費者の会会長で、県食の安全推進会議委員の福井靖子さん(倉吉市)は、「ミートホープの食品偽装問題以降、食品検査はきちんとされていると思っていた」と、今回の企業の対応のまずさを批判。さらに輸入食品をめぐる現状について、「加工食品の場合、原料を輸入して国内で袋詰めすると国産表示となるものが多く、消費者には分かりにくいのが問題だ」と指摘する。 例えば「アジの開き」。輸出国と原産国はノルウェー、輸入元は日本の商社名が記される。ノルウェーで加工されたとしても、原料のアジがどの国の水域で水揚げされたのか、消費者には知るすべがない。「原料の原産地が知りたいのに、分かりづらい表示が多い」と、消費者の目線での見直しを要求する。 福井さんは、食品の表示に不備がないかどうかをチェックし行政機関に報告する「県食品表示ウオッチャー制度」の委員も務めている。五、六年ほど前までは、県内のスーパーや小売店などでも表示の欠落や間違いが多く見られたという。今ではかなり減ったが、完全ではない。不明な点はその都度、店員に尋ねる。 私たち消費者には何ができるのか。 福井さんは「消費者は表示を信用して買うしかない。正しい表示だけが頼り」と企業の責任を追及する一方で、消費者側の意識の持ち方にも言及する。 「賢い消費者になるため、食卓の安全を守るためにも、ことあるごとに業者や行政に対して声を上げていくことが大切」。一人一人の意識と行動が、食の安全につながる。 ■インデックス
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