大阪府の橋下徹知事は13日、就任後初の定例記者会見で、知事選の公約として掲げた習熟度別クラス編成導入や府立高校の学区制撤廃について、「机上の空論だった」と述べ、根本的に見直すことを表明した。橋下氏は同日午前、中退率の高い府立高校などを視察して認識が変わったと説明し、「(学区制や学校給食導入は)議論のところで終わるような話だと思っている」と、実現性に自ら否定的な見方も示した。
橋下氏は選挙中、小学校に習熟度別クラス編成、中学校に学校給食を導入し、府立高校の学区制を撤廃すると訴えていた。さらに知事就任後も報道番組などで、特に習熟度別クラス編成を導入する考えを表明した。
しかし、会見では「自分の教育論はすべて、現場を見ずに頭の中で考えていた」と釈明。今後、知事直轄のプロジェクトチームや府教委と公約について議論し、その結果、実現できないとの結論が出た場合は、撤回する考えを明らかにした。
また、当選直後のインタビューなどで打ち出した「府債発行を原則認めない」との方針についても「よほどのものしか挙げさせないため、原則ゼロという号令は必要。目標達成させるための指揮官のやり方だ」と述べた。
発言のぶれで混乱を招いていることでは、「最終的に僕の政治責任としか言いようがない。自分自身の考え方をとりあえず発信する。皆さんに議論する機会を持ってもらう。計算していなければ単なるバカでしょう」と説明した。
一方、橋下氏は同日、知事直轄の二つのプロジェクトチーム(PT)を発足させた。重要政策PT(8人)は、子育て支援などの重点公約の実現を検討し、改革PT(11人)はすべての事業や出資法人、府有施設をゼロベースで見直す。また、失敗した大型事業の検証作業も進める。いずれもトップは次長級で、本予算を組む6月までに結論を出す。【坂口佳代、石川隆宣】
毎日新聞 2008年2月13日 20時38分 (最終更新時間 2月13日 21時25分)