中医協が2008年診療報酬改定を答申したのを受けて、日本医師会(日医)と健康保険組合連合会(健保連)は13日、厚生労働省内でそれぞれ会見した。診療所の再診料引き下げが見送られた点については、日医の竹嶋康弘副会長が「評価している」としたのに対し、健保連の対馬忠明専務理事は「残念で遺憾」と不満をあらわにした。4月改定をめぐる攻防で最大の焦点になったこの問題で、両者の受け止め方の違いが際立った。
【関連記事】
08年改定、残された課題は?
08年診療報酬改定案を答申
日医の竹嶋氏は会見で、診療所の再診料を「診察から治療法選択までの一連の無形の技術に対する報酬」と位置付け、4月の改定での引き下げが見送られたことを「私どもとしては評価している」と前向きな受け止め方を示した。
一方で、医科部分の報酬引き上げに伴う新たな財源がすべて病院に回ったほか、診療所による算定が多い「外来管理加算」の引き下げが決まるなど診療所も痛みを負うことになる点を強調。中川俊男常任理事も「開業医が楽をしているという図式があるが、経営に余裕があるということは決してない。認識のズレが最後まで埋まらなかったのは残念だ」と述べた。
このほか竹嶋氏は、08度予算の概算要求基準(シーリング)段階で求められていた社会保障費2,200億円圧縮分の財源が、健保組合や共済組合の負担によって捻出(ねんしゅつ)されることになった点について「率直に大きかったが、本来は国が医療の在り方を示して対応するべき」と述べ、09年度以降の予算編成では「機械的な削減」を白紙に戻すよう求めた。
■健保連の対馬氏「意見尊重してほしかった」
一方、健保連の対馬氏は診療所の再診料引き下げが最終的に見送られた点について「遺憾でもあり大変残念」と不満を表明した。
対馬氏はこれまで、病院勤務医の負担軽減策に充てる約1,500億円について「これでは不十分」との認識を示してきた。この日の会見では「病院の再診料を引き上げて診療所を下げれば勤務医や国民への明快かつ象徴的なメッセージになったはず。そこができなかったのは支払側として大変残念」と悔しさをにじませた。
また、2,200億円の圧縮に伴い健保組合が負担を求められたため「こうしたことも合わせて(再診料では)私たちの意見を最大限尊重していただきたかった」とも述べた。その上で、初・再診料などの在り方について今後も主張を続ける考えを示した。
一方、外来管理加算の点数が病院(現行47点)、診療所(同57点)で52点に統一されることになった点や、後期高齢者への総合的・継続的な管理を評価する「後期高齢者診療料」の新設が決まった点は評価した。
また、10対1入院基本料の引き上げについては「終盤に急浮上した感じはあるが、地域で急性期の中心を担う病院(による算定)が多いので、最終的に納得した」と話した。
更新:2008/02/13 20:32 キャリアブレイン
医療ニュースデイリーアクセスランキング
※集計:2/12
医療ニュースアクセスランキング
※集計:2/7〜2/12
医療ニュース動画
08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。