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診療報酬改定:医師不足緩和、政策誘導に限界 効果は不透明

 中央社会保険医療協議会(中医協)が13日に答申する08年度診療報酬改定は、勤務医の負担軽減につなげることを狙った項目が目白押しだ。産科、小児科など医師不足が際立つ分野への加算などが柱で方向性には異論がない。ただ診療報酬による政策誘導には限界があり、効果の検証を確約せざるを得なかった。

 今回、医師の技術料などが8年ぶりのプラス改定となったのは、関係者の間で医師不足への危機意識が共有されたことが大きい。プラス改定による1000億円強の新規財源すべてを勤務医対策に回すことは、開業医の影響が強い日本医師会も早くから認めた。

 厚生労働省はさらに開業医の再診料カット分を勤務医に移すことを狙ったが、これには日医が組織をあげて反対し、結局断念。代わりに、アドバイス料である外来管理加算(520円)の適用要件を「5分以上の診療」に限るなどして開業医の収入を400億円強減らし、プラス改定分と合わせ勤務医対策に約1500億円を充てることになった。

 厚労省は▽手術料アップなど(600億円)▽事務補助員配置(350億円)▽妊婦の救急搬送加算など(150億円)--に使うといい、300床の病院なら年間5000万円の収入増と試算する。だが、1500億円は病院の年間総収入(約16兆円)の1%弱に過ぎない。また、病院の収入増が、どの程度、勤務医の収入増につながるかは不透明だ。国に報酬の使途を指図できる権限はなく、厚労省幹部も「そこに限界がある」と認める。【吉田啓志】

  ■08年度診療報酬改定の主な項目

 (1)緊急課題(産科・小児科など病院勤務医の負担軽減)

・ハイリスク妊娠管理加算(1日1万円)新設

・妊産婦緊急搬送入院加算(5万円)新設

・子ども専門病院向けに小児入院医療管理料(1日4万5000円)の区分を新設

・外来縮小など、入院機能を高めた地域中核病院への入院時医学管理加算(1日1200円、上限14日)新設

 (2)分かりやすい医療の実現

・開業医と病院の格差是正。病院(200床未満)の再診料を600円にアップ

・400床以上の病院に、患者の求めがあれば診療報酬明細書並みの明細書発行を義務化

 (3)医療機能の分化・連携推進

・患者の復帰率の高い病院向けに、回復期リハビリテーション病棟入院料(1日1万6900円)の区分新設

・歯科の初・再診療引き上げ(初診1800円→1820円、再診380円→400円)

 (4)今後重点的に対応する分野

・外来がん患者への放射線治療加算(1000円)新設

・自殺防止対策として、精神科医連携加算(2000円)新設

 (5)効率化の余地がある分野

・軽度のやけど治療、耳あか除去などへの報酬を廃止

・後発薬処方率30%以上の際の加算(40円)新設

 (6)後期高齢者医療への対応

・病院470円、開業医570円の外来管理加算を520円に統一

・終末期の診療方針を患者、家族と話し合い、文書化した場合の支援料(2000円)新設

毎日新聞 2008年2月13日 東京夕刊

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