厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)は13日、08年度診療報酬改定案を取りまとめる総会を開いた。焦点の再診料は、開業医(710円)の引き下げを見送る一方、病院(200床未満)は30円増の600円とし、双方の差を縮める。次期改定での初・再診料の抜本的見直しを盛り込んだ付帯決議とともに13日午後、舛添要一厚労相に答申する。
08年度改定は、医師不足への危機感を背景に、緊急課題として産科、小児科などの病院勤務医の負担軽減を掲げた。医師の技術料など本体部分を0.38%引き上げ、医科分野の総医療費は1000億円強増える。さらにアドバイス料に相当する外来管理加算の縮小などで減らす開業医の報酬400億円強も原資に充て、総額約1500億円を勤務医の待遇改善に充てる。
妊婦の救急搬送受け入れ態勢の問題化を受け、切迫早産などを対象に「ハイリスク妊娠管理加算」(1日1万円)を新設、緊急搬送の妊婦を受け入れた場合の加算(5万円)も設けた。時間外に急患が大病院に集中し勤務医が疲弊しているとみて、開業医の初・再診料に夜間・早朝加算(500円)を新設する。
また、重点分野の一つに自殺対策を加え、うつ病など精神障害を疑われる患者を診た内科医らが、患者の同意を得て精神科医の予約を取り、紹介した際の精神科医連携加算(2000円)を作った。4月に始まる後期高齢者医療制度(75歳以上)への対応では、研修を受けた開業医が診療計画を作成、外来患者を継続して総合的に診た場合の「後期高齢者診療料」(月6000円)を新設した。
このほか、「患者7人に看護師1人」を満たす病院の収入を一律増とする制度を見直し、対象をがんの化学治療に取り組むなど「看護必要度」の高い病院に限る。大病院が大量に看護師を抱え、中小病院が看護師不足に陥る一因となったためだ。リハビリの入院料には成果主義を取り入れ、患者の復帰率6割以上などの医療機関は現行よりアップさせる。
08年度改定は、本体部分は8年ぶりのプラス改定となる一方、「薬価」は1.2ポイント引き下げ、全体では0.82%減となっている。【吉田啓志】
毎日新聞 2008年2月13日 10時48分 (最終更新時間 2月13日 10時53分)