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Tリンパ球:理研、作り分けを解明 拒絶反応抑制に道

 体内に入った異物を排除する免疫反応を担う2種類の「Tリンパ球」が作り分けられる仕組みを、理化学研究所の研究チームが解明した。アレルギーや移植後の拒絶反応を人為的に抑制する手法の開発につながる成果で、米科学誌サイエンスに発表した。

 Tリンパ球には大別して、異物の侵入情報を他の免疫細胞に伝える「ヘルパーT細胞」と、異物を直接攻撃する「キラーT細胞」の2種類がある。いずれも胸腺で共通の前駆細胞から作られるが、どう作り分けられているかは謎だった。2種のバランスが崩れると、免疫不全やアレルギーなどを引き起こす。

 理研の谷内一郎チームリーダー(免疫学)らは、通常は前駆細胞から「ヘルパー」と「キラー」が2対1の割合でできるのに、「Runx」というたんぱく質を作れないマウスでは、「キラー」がほとんどなくなることを発見。Runxが「ヘルパー」への分化を促す遺伝子に結びついて働きを抑制し、前駆細胞から「ヘルパー」だけが作られることのないようにしていることを突き止めた。

 谷内さんは「今回の発見を応用し人為的に作り分ける技術ができれば、再生医療や免疫疾患の新たな治療法への応用が期待できる」としている。【西川拓】

毎日新聞 2008年2月13日 東京朝刊

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