10年間で死亡41件確認、幼鳥も保護
先月31日、石垣島米原付近の県道79号でカンムリワシ1羽が交通事故で死亡した。カンムリワシの交通事故が確認されるのは今年初めて。
環境省那覇自然環境事務所によると、1998年から2007年までの10年間に確認されたカンムリワシの交通事故は63件で、このうちの石垣島の21件と西表島の20件の合わせて41件はカンムリワシが死亡している。同事務所では「近年(カンムリワシの)交通事故が増加傾向にある」として注意を呼び掛けている。
同事務所や市教委文化課のまとめによると、石垣島で発生したカンムリワシの交通事故は▽99年=2件▽00年=3件▽01年=1件▽02年=6件▽03年=6件▽04年=1件▽05年=3件▽06年=6件▽07年=5件と推移。
えさとなる小動物を捕るために路面に降りたところで交通事故に遭うケースなどが目立つ。繁殖期を迎える冬季に発生しやすい。
先月31日のケースは、午後零時半ごろに発生した。自動車にはねられたのを目撃した市民が通報したのを受けて、市教委文化課の担当者が同1時半ごろに現場に到着したが、すでに死亡していた。
この個体は市内で獣医師が鳥インフルエンザと西ナイル熱ウイルスに感染していないことを確認したうえで、詳しい検査のために国立環境研究所(茨城県つくば市)へ送られた。
一方、今月7日には、屋良部半島の市道で衰弱したカンムリワシの幼鳥1羽が保護され、石垣市内の動物病院で治療を受けている。繁殖期間に縄張り争いが激しくなり、体力の弱い幼鳥がえさの豊富な地域から追い出されたことが背景にあるとみられている。
獣医師の宮城国太郎氏は「繁殖に適した豊かな森だけでなく、繁殖はできなくても、幼鳥がえさを捕って生き延びられるだけの自然を確保することにも留意しなければならない」と話す。
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