中国製ギョーザ中毒事件の発覚から十三日で二週間。ギョーザやパッケージからの殺虫剤検出が相次いで公表され、保健所などに寄せられた相談件数は五千件を超えている。千葉、兵庫の十人以外に中毒患者は確認されていないが、依然として「食」への不安は収まらない。信頼回復へ向け行政も動き始めた。
▽31袋から検出
千葉、兵庫両県で起きた三家族十人の中毒事件後、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」と「ジクロルボス」が検出されたギョーザは三十一袋に上る。
このうち、二十二袋の濃度は極めて低く、千葉、埼玉などで見つかったものは、残留農薬が検出されたとみられている。
また、徳島県では袋の外側から微量なジクロルボスが検出され、土曜日だった九日の夜に飯泉嘉門知事も出席して緊急会議を開催。しかし、店舗の防虫作業にジクロルボスを含む薬剤を使っていたことが判明し、店内で付着した可能性も浮かんだ。
輸入にかかわった日本たばこ産業(JT)は冷凍ギョーザの回収に取り組むが、回収率は低い。兵庫県での中毒の原因となった「中華deごちそうひとくち餃子」(昨年十月一日製造)は輸入した一万一千四百二十四袋のうち回収できたのは6%弱の六百五十九袋。
▽首相も陳謝
既に食べてしまった物も多いとみられ、消費者の間で不安の連鎖が続く。これまでに全国の保健所などに寄せられた相談は五千百四十三件に上った。このうち八百八十一件が実際に医療機関で受診したという。
中国の「天洋食品」が製造した食品は学校給食にも広く使われ、全国で使用した学校は五百七十八校に上っている。
相次いだ食品偽装問題に続いて発生したギョーザ中毒事件。しかし、発生当初の行政対応には遅れが目立った。
「厚生労働省に連絡が来るのが遅く、被害拡大を防げなかった」。福田康夫首相は衆院予算委員会で国民に陳謝。政府は、消費者行政一元化に向けた有識者会議を発足させるなど、消費者重視の姿勢アピールに懸命だ。
厚労省も手薄だった輸入加工食品の水際でのチェック強化を打ち出した。加工食品の場合、材料の原産地表示がないことが多いが、東京都は独自の表示方式を検討。石原慎太郎知事は「東京は日本最大の消費地で責任もある。国に先んじてやりたい」と話している。
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