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プロの語りごと

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声優界の名喜劇役者

緒方賢一 〜後編〜

その独特の和み声と、“アドリブの達人”とも言われる軽妙な語り口で、声優として幅広い活躍をみせる緒方賢一氏。朝から晩まで芝居漬けという日々の中でも、ストレスをためずに充実した暮らしを送る秘けつを聞いてみた。
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「精神的に充実したときが一番うれしい」と語るポジティブ思考の緒方氏。

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「飲む、打つ、買う」が緒方流“人付き合いの極意”。

ストレスはダジャレで解消

 芝居が大好きで、創造しているときが一番幸せだという緒方氏。そのため、オフという概念は基本的にないという。お酒の席でも、自宅にいるときも、気付けばいつも芸のことばかり考えているそうだ。

「飲みにいくと、必ず遅くなりますね。ある程度飲んだ頃に、話が盛り上がってくるから、いつも帰りが遅くなる。カミさんにツノが生えちゃってね。『芝居なんてやらないって言ったくせに』って。だけど今さらやめたら、ボケが早く来ちゃうでしょ(笑)。だから死ぬまでやると思います」

 お酒の席では、会話の中からダジャレやアイデアが生まれることも多い。仕事とプライベートの枠をあえて設けないことによって、より自由な発想ができるというわけだ。とはいえ、“年中仕事”の毎日では、ストレスは溜まらないのだろうか。

「やっぱり自分の好きな仕事ですからね。それに、飲んだり、ダジャレをぶっ飛ばしたりしているうちに、ストレスなんて解消されますよ」

緒方流“人付き合いのコツ”

 そんな緒方氏が、仕事を気持ちよく行う上で一番気を遣っているのが、人間関係だという。長年の経験から得たという、上手に人と付き合うコツを教えていただいた。

「まず、自分自身が人を思いやれること。それが大事ですね。それから、相手との間に自ら溝を作らないこと。自分が嫌えば、当然、相手もその雰囲気を感じますよね。すると自分もそこに居づらくなる。溝を作らないようにすれば、自分もすごく楽になりますよ」

 社会に出れば、誰しも苦手なタイプの人間と対峙することが往々にしてあるものだ。人間関係を苦に職場を離れる人も後を絶たないと聞く。いったん相手に苦手意識を持ってしまうと、それを覆すことはなかなか困難になる。ささいなことでも憎さが募り、やがて修復不可能なほどに溝は深まってしまうものだ。そうなってしまう前に、まずはこちらから歩み寄ればいいと緒方氏は言う。

「いやな人がいたら、逆に飛び込んでしまえばいい。ある線までは親しくなれるものです。気楽にしゃべれるようになれば、もう楽なもの。後になって『何で壁を作っていたんだろう?』と思うはずですよ」

 とはいえ、頭では理解できても、行動に移すとなるとなかなか難しいことかもしれない。そんな場合は、緒方流「飲む、打つ、買う」を心に留めておくといいだろう。本来は放蕩者が好むこの三大要素にひっかけて、緒方氏は“人付き合いの極意”を自分なりにこう定義しているという。

「まずは“飲む”。雰囲気にのまれないで、逆に雰囲気をのんでかかること。偉そうにするという意味ではなくて、自分から入っていって、雰囲気を癒すような場所を自分で作ればいい。次に、人から言われてやるのではなく、何事も自分で先手を打つこと。アイデアもダジャレも、人から要求される前に自分からどんどん出していく。これが“打つ”ですね。最後に“買う”ですが、これは人の痛みを理解するということ。少し大げさですが、いつもそういう思いでいます」

 氏と向かい合って話していると、初対面であるにも関わらず、リラックスして話に聞き入ることができるのは、経験から得たというこの“極意”をきちんと遂行しているためだろう。穏やかな語り口だけならず、氏の作り出す雰囲気そのものに心地よくのまれていることに気付く。何より、彼自身のリラックスした表情が、相手の警戒心を解き、穏やかな気持ちにさせるのだろう。

自然体であること

「言われてみると、いつもリラックスしているような気がするなあ」と笑う緒方氏。物事をあまり深く考えず、勘で動くことも多いという。芝居に関しても、理論立てて理屈をこねまわすより、感性で作るタイプだそうだ。

「要するに、人間の生き様を表現するわけですから、屁理屈をこねても仕方がない。プロセスがどうであれ、今ここで私が求められているものは、簡単に考えれば喜怒哀楽しかないわけです。だからあまり難しくは考えない。キャラを作るときは、情報を収集して役をつかむようにはしていますけど、それさえ決まってしまえば、あとは相手との瞬間、瞬間の命のやりとりですから、その命をいかなる音声で心に響かせるかでしょうね」

 常に自然体でいるということは、ともすれば何も考えていない、無防備な存在のように他人からとらえられるかもしれない。しかし、長い経験で培われた、揺るぎない信念や確固たる人格があるからこそ、堂々と素の自分でいられるのではないだろうか。

人生、前向きにトライ

 そんな緒方氏が、人生を楽しむために心がけていること。それは、常に前向きな気持ちでいることだ。

「何かにつまずいて、人生をマイナスにとらえてしまうと、生きていてもおもしろくないと思うんですよね。むしろ、そういうことを全部、いい方、いい方にとらえていけるようにならないと」

 とにかくポジティブに物事を考えること。気持ち一つで、いくらでも未来を変えていくことができる。会社で怒られたら、それを糧にしてさらに上を目指せばいい。自分のために言ってくれていると思えば、むしろありがたいと思えるはずだと緒方氏は言う。

「当然、至らないから言われるのであって、そこで腐ったら終わりですよね。腐ったら食えないでしょ(笑)」

「自分にとって悔いのない日々を送ること」――これが緒方氏にとっての「豊かな暮らし」の条件だという。お金があるにこしたことはないが、それだけで豊かになれるというわけではない。何よりもまず、自分の気持ちが満たされていることが重要なのだ。

「物が手に入ってうれしいということも当然ありますが、やはり精神的に充実したときが一番うれしいかな。仕事も含め、自分の好きなことが日々の生活のベースになっているわけですから、こんなにうれしいことはないですよね。気持ちもすさんでいないし、常に前向きだし……それ以上のぜいたくはないんじゃないでしょうかね」

 気持ちを充実させるためには、自ら行動を起こすことが必要だ。失敗を恐れず、何事にも積極的に挑めば、人生はおのずと充実するものだと緒方氏は考える。

「他力本願や他人の指示待ちではダメですね。先手必勝、好きなことはどんどんやる。失敗もするかもしれないけど、そのほうが次のステップにつながりますから」

 人生には失敗がつきものだ。しかし、それを恐れて立ち止まっていては、その先に広がる大きな可能性をみすみす見逃すことになる。安全な道だけを選んで進めば、確かに不安からは開放されるかもしれないが、振り返ったときに果たして十分な満足感を得られるだろうか……。しかし、前向きに生きる中でつまずいたとすれば、結果的に大きな成長というかけがえのない報酬が与えられることもある。もののとらえ方を少し変えるだけで、失敗も有意義なものに思えてくるというものだ。

「あまりにも人生がスムーズにいってしまったら、逆につまらないかもしれないでしょ。紆余曲折を経れば、後になって、その分だけ自分が豊かになっていることに気付くはずです。失敗を経験した分、必ずプラスになっていますから。要は、めげないことですよ」

「もっともっとトライ」――この言葉を胸に、今日も緒方氏は大好きな夏の太陽光を浴びて、元気に前進し続ける。その前向きなパワーは、ブラウン管や舞台を通して、多くの視聴者にも届いているに違いない。

取材/文 高間裕子

(08/22)

達人プロフィール

緒方賢一

1942年、福岡生まれ。1970年にTVアニメ『ゲッターロボ』のバット将軍役で声優デビュー。現在も『名探偵コナン』の阿笠博士、『あたしンち』の父、『ざわざわ森のがんこちゃん』のがんこの父、沼のカッパ役など、多数の人気番組で声優として活躍中。また、20年以上にわたり座長を務める「劇団すごろく」にて、喜劇俳優としても活動を続けている。

劇団すごろく10月公演『朝風』
10月26日(木)〜10月29日(日)
新宿スペース107にて

劇団すごろく公式サイト

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