東京都杉並区の杉野隼三ちゃん(当時4)が割りばしをのどに刺して死亡した事故で、病院の不十分な検査が死亡につながったとして、両親が担当医(39)と病院を運営する学校法人「杏林学園」に計約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(加藤謙一裁判長)は12日、「診療に過失があったとはいえない」として請求を棄却した。両親は控訴する方針。
隼三ちゃんは1999年7月、転んだ際に綿あめの割りばしがのどを貫通。杏林大付属病院で傷口に消毒液を塗る治療を受けて帰宅したが、翌朝死亡した。司法解剖で頭蓋(ずがい)内に長さ約7.6センチの割りばし片が残っていたことから、両親は「適切な検査や治療をすれば死亡には至らなかった」と主張。担当医や病院の過失の有無が争点になった。
判決理由で加藤裁判長は、担当医の診療時に隼三ちゃんには意識があり、口内に割りばし片も見えなかったと認定。「割りばしが頭蓋内に刺さって損傷させている可能性を予見できたとはいえない」と述べ、担当医の過失を認めなかった。(12日 21:45)