「エースのホケツ」に注目!! 北京五輪・馬術日本代表

日本五輪史上最年長選手に贈るエール

小澤 健二(2008-02-12 11:45)
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 先日ラジオでスポーツニュースを聞いていた。仕事をしながらだったので、よくは聞いていなかったのだが、北京オリンピックで馬場馬術団体で日本選手史上最高齢(出場時)の「ホケツ」選手が出場する見通しであると伝えていた。

 それを聞いてふと思ったことは、「補欠選手ねえ・・。本命の選手が怪我でもしたのか・・?それにしても史上最年長で出られるとはラッキーだなあ。」と思っていた程度だった・・。

 このことがとんでもない誤解だと知ったのは帰宅して、今度はテレビでスポーツニュースを見たときだった。

 「ああ、補欠じゃなくて、法華津さんって苗字なんだあ!!」

 失礼ながら、そんな苗字があるとは知らなかったのだ。

日本史上最年長での北京五輪出場が確定した馬場馬術の法華津寛(アバロン・ヒルサイドファーム)。東南アジア・オセアニア地域予選審査会で愛馬ウイスパーと(フランス南部レザークシュルアグジョン、時事)

 気を取り直して法華津さんについて調べてみてびっくりしたことは、何とこの選手は東京五輪に出場していたのだ。

 東京五輪後は、84年のロス大会では文字通り「補欠選手」ということで、次の88年のソウル大会では出場権は獲得したものの、馬が検疫にひっかかりいずれも出場できなかった。

 その後、実業家としても活躍していたが、オリンピック再挑戦を決意し、2003年から家族を日本に残し単身でドイツで馬術修業しているという。還暦を過ぎても衰えぬ情熱と意欲にはただただ恐れ入る。44年ぶりとなる五輪でどんな活躍を見せてくれるのだろうか。

 せっかくの機会なので馬術について調べてみると、スポーツあるいは競技種目としては、ヨーロッパに端を発するブリティッシュ馬術と、新大陸におけるカウボーイ乗馬を起源とするウェスタン馬術の二つが主流をなしているという。

 ブリティッシュ馬術は貴族社会のたしなみを反映した流派であり、運動の正確さ、美しさなどを重視するし、馬術家の礼儀・作法も重んじており公式の場では燕尾服・山高帽や軍服などの正装を要求する。五輪で採用されているのがこちらのスタイルである。

 一方、ウェスタン馬術は、未開拓の新大陸で長距離の騎乗を行うことを目的とした、カウボーイ乗馬に端を発する馬術である。 服装も、カウボーイハット、バックル、ジーンズという、西部劇などではおなじみの「ウェスタンファッション」が正装なのである。

 この2つのスタイルは、技術もスタイルも大きく異なっているが、双方に共通する最も大きな特徴は愛馬精神の尊重で、オリンピックでは動物を使用する唯一の種目であるとともに、選手の男女が区別されない唯一の種目でもある。

 よくスポーツ競技で重要なものは「心技体」というが、「心」は無論だが、他の競技で特に重要視されるのが「体」、つまり身体能力がモノを言う五輪で「技」が優先される異色の競技といっていいだろう。

 しかもそれは人間だけでなく、出場する「もう一人の選手」つまり馬にも求められる。競馬のようなムチ入れと違い、最小限の指示で障害を飛び越えたり、フィギュアスケートのようにいかに美しい運動をさせるかなど、意思疎通の重要性が問われる、まさに「人馬一体」の競技である。

 思わぬ形で注目された馬術競技で思い出したことがある。実はこの競技、「北京五輪」と謳いながら開催されるのは香港なのだ。

 なぜそれを知っているのかというと、去年香港に行った際に、空港など、街の至るところで宣伝ポスターが貼ってあったからだ。最初は「何でそんな遠くで・・?」と思ったのだが、よくよく考えてみれば馬術という競技はヨーロッパ発祥の「紳士の競技」であるから、10年までイギリス領だった香港で行うというのが自然の流れかと思う。

 44年ぶりに訪れる晴れの舞台で輝く67歳の「ケンタウロス」に期待したい。



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