最初にマウンドに上がったのは、白組の先発・田中。登板後「異様な雰囲気だった」と振り返ったように、スタンドに集まった観衆1,000人の緊張感が漂う中、先頭の渡辺直人に投じた初球はボール。続く2球目を左前に運ばれると、続く枡田慎太郎への2球目に二盗を決められた。枡田を四球で歩かせ、無死一、二塁とピンチを招いたが、ここから、先輩としての意地を見せた。草野大輔をストレートで併殺打に仕留め、2死とすると、山下勝充を見逃し三振に斬って取り、無失点でしのぐ。
その裏、紅組の先発・長谷部がマウンドへ。「自分のことを意識してマウンドに上がった」という初回は、聖澤諒、高須洋介を続けて打ち取った後、鉄平には左前に弾き返された。しかし、続く山崎隆広を二飛に仕留め、こちらも無失点。これを目にした田中は、さらに勢いを加速させる。2回は横川史学、平石洋介、藤井彰人を相手に2三振を奪うなど三者凡退。33球を投げ終えて、マウンドを降りた。
長谷部の2イニング目は、先頭の河田寿司をカウント2−2から見逃し三振に打ち取ると、中島俊哉、大廣翔治からも空振り三振を奪う見事な内容。特に、大廣に対しては、ストライク3つを全て空振りで取るなど圧倒。「キレがよくて、コントロールもよかった。ルーキーとは思えない」と、ボールを受けた藤井も絶賛。北京五輪予選代表の力を十分に発揮する実戦デビューとなった。
それでも、登板を終えると「緊張していた。力んでしまった」と口をそろえた2人。長谷部は細かいコントロール、田中は全体的なレベルアップを課題に挙げた。
「長谷部は、まあまあまとまっていた。オープン戦で使ってみる。まとまってコントロールがいいので、楽しみだよ」とベールを脱いだルーキーに、ご満悦の野村監督。田中についても「いいストレートを投げている。いいストレートを投げられれば、2年目のジンクスはない」と高く評価していた。