東京・杉並区男児割りばし死亡事故損賠訴訟 医師の過失を認めない判決 東京地裁
東京・杉並区で1999年、のどに割りばしが刺さった4歳の男の子が病院で受診後に死亡した事故で、両親が病院側に賠償を求めた裁判で、12日、東京地方裁判所は、医師の過失を認めず、両親の訴えを退ける判決を言い渡した。
割りばし事故で息子を亡くした杉野正雄さんは「到底納得することはできません」と話し、妻の文栄さんは「隼三にかける言葉さえ思い浮かびませんでした」と語った。
1999年、当時4歳の杉野隼三君が、盆踊り会場で綿菓子の割りばしを加えたまま転倒した。
搬送先の杏林大学付属病院は、傷の処置をし帰宅させたが、隼三君は翌日、死亡した。
司法解剖の結果、脳におよそ7.6cmの割りばしが刺さっていたことがわかった。
病院側の診断をめぐる裁判になったが、病院側は一貫して過失を否定、刑事・民事双方の判断が注目されていた。
1999年7月13日、センター外来医長・田中秀治氏(当時)は「これは単なるミスであるというふうに考えていません」と話していた。
担当医が業務上過失致死罪に問われた2年前の裁判では、「適切な治療をしても、救命の可能性は極めて低かった」と無罪の判決が言い渡された。
そして12日、遺族側にとって厳しい判決が下された。
杉野文栄さんは「本当に長い時間がたったんですが、何とか隼三に報告できるような判決であればと思っています」と語った。
両親が、病院側と担当していた元医師に対し、8,960万円の賠償を求めた民事訴訟で、東京地裁は12日、「割りばしが頭の中まで刺さり、損傷を生じた可能性があると診断する注意義務は医師にはなかった」と、原告側の請求を棄却した。
刑事裁判では認められた担当医らの過失が認められないという、遺族側にとって厳しい判決が下された。
杉野文栄さんは「最後には必ず隼三を正義の味方にしてやれるように、今まで以上に努力したいと思います」と話した。
この判決を受け、病院側は「判決を真摯(しんし)に受け止め、地域の人々から信頼を得られるよう、全力を挙げて努力してまいります」とコメントしている。
原告側は、判決を不服として控訴する方針。