両親の訴えは認められませんでした。東京・杉並区で、喉に割り箸が刺さり、診察から帰宅した後に死亡した4歳の男の子の両親が病院側を相手取り損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は両親の訴えを退けました。
杉野隼三ちゃん(当時4)。9年前、夏祭りで買ったわたあめの割りばしをくわえたまま転倒し、喉に割りばしが刺さりました。隼三ちゃんは杏林大病院に運ばれて治療を受けましたが、担当医師は消毒薬を塗るなどしただけで帰宅させました。その後、容体が急変し、4歳9カ月の短い命を閉じたのです。
担当医師の刑事裁判の一審判決では「診察や検査は十分ではなく、過失は認められる」と指摘しましたが、死亡との因果関係までは認めず、無罪を言い渡しました。
息子の死を無駄にしたくない。両親は「不十分な診察で死亡させた」などとして病院側と担当医師を相手取り、およそ9000万円を求める訴えを起こしました。
「もしも隼三が生きていれば、今年はもう中学1年生っていうことだったので、本当に長い時間が経ったんですが」(隼三ちゃんの母・杉野文栄さん)
そして・・・。
「請求を棄却する――」<東京地裁>
判決で、東京地裁は両親の訴えを退けました。理由は「当時の医療水準やけがの状態などから医師の過失は認められず、診察と死亡に因果関係は認められない」というものでした。
「刑事(裁判)の時は『隼三ゴメンね』と声をかけたんですけども、今日の判決を聞いたときには、隼三にかける言葉さえ思い浮かびませんでした」(母・杉野文栄さん)
「本当にあの治療が適切な治療だったのか、病院としてもっときちんとやるべきことがあったのではないかということを明らかにしていく」(父・杉野正雄さん)
判決を受け、病院側は「主張が認められ、ほっとしています。しかし、杉野隼三さんに対しては改めてご冥福をお祈り致します」などとコメントしています。(12日17:00)