憂楽帳

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憂楽帳:救急患者搬送

 ガソリンなどの暫定税率を巡る国会論議のテレビ中継に目がとまった。冬柴国土交通相が、紀伊半島が書かれたパネルを示し、奈良県十津川村の救急患者搬送を例に、道路整備が必要だと説いた場面だ。インターネットの国会中継で確認してみた。「心停止3分、呼吸停止10分、出血多量の場合30分。これが亡くなるかどうかの瀬戸際だが、こういうこともできなくなる」と訴えていた。

 山が好きで、十津川には何度か出かけている。トンネルなどのありがたさもよくわかる。しかし、救急搬送に本当に必要なものは道路整備なのだろうか。パネルには、救急病院所在地までの時間もあった。新宮市70分、五條市90分。

 こうした地域ではヘリコプターが活躍する。昨年、ドクターヘリ配備を促進する法律が成立したが、国内の配備は13道府県14機にとどまり、奈良県は未配備だ。厚労省の担当者は、配備が進まぬ一番の理由に経費をあげる。ドクターヘリ1機の年間コストは約1億7000万円。道路建設と比べ、過大な額だとは思えないのだが……。道路の呪縛から脱却したほうがよさそうだ。【湯谷茂樹】

毎日新聞 2008年2月12日 大阪夕刊

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