シカゴ(AP) 生殖器官の発達などへの悪影響が懸念される化学物質が、赤ちゃん用のシャンプーやパウダーに含まれている可能性があるとの研究結果を、米ワシントン大の小児科医らがこのほど報告した。ただしこの研究については、危険性が確認されたわけではないとの批判も出ている。
この物質はフタル酸と呼ばれ、化粧品の香料やプラスチック製おもちゃなど、多くの日用品に含まれている。動物実験で生殖器官の先天異常を引き起こすとの結果が報告されたことがあり、一部の医療関係者らが、使用を規制すべきだとの運動を展開してきた。メーカーが商品に「非フタル酸」などと自主的に表示しているケースもある。一方、米食品医薬品局(FDA)は、「化粧品に使われるフタル酸の危険性を示す確定的な証拠はない」との立場だ。
ワシントン大のチームは、米国内の生後2カ月から2歳4カ月の赤ちゃん163人を対象に、おむつから採取した尿中のフタル酸を調べる研究を実施。結果を小児医学専門誌に発表した。
それによると、母親への聞き取り調査で、測定前24時間以内にシャンプー、ローション、パウダーなどの赤ちゃん用商品を使ったとの報告があった赤ちゃんでは、高レベルのフタレ酸が検出されることが分かったという。チームでは「赤ちゃんの洗髪は、水だけまたはごく少量のシャンプーで十分なはず」として、安易な赤ちゃん用品の使用に懸念を表明する。
だが専門家からは、研究の手法を疑問視する声も出ている。使用されたシャンプーなどに、実際にフタル酸が含まれていたかどうかは確認していないため、「おむつや実験器具が出所だった可能性もある」と指摘する研究者もいる。