名護市長「影響なし」/岩国市長に福田氏
【名護・宜野湾】山口県岩国市長選で十日、米空母艦載機移転に賛成の福田良彦氏の当選が決まったことは、同様に在日米軍再編問題を抱える名護市や神奈川県座間市の関係者に波紋を広げた。米軍普天間飛行場移設予定地の名護市の移設容認派からは「普天間も進むのでは」と歓迎する声が上がった。一方、反対派は「政府につぶされた」と残念がった。
普天間飛行場の移設先、辺野古区の有志らでつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「選ばれた市長には国防の観点から在日米軍再編に協力してほしい。それぞれの地域で再編作業が進めば普天間や嘉手納以南の基地返還など沖縄の再編も進んでいくのではないか」と期待を込めた。
政府案より滑走路位置を沖合に移動するよう求めている島袋吉和名護市長は「われわれは国と移設受け入れの基本合意を交わしている。(岩国市とは)立場が根本的に違い、影響はない」と強調。
市幹部や保守系市議も「交付金目当てに名護市が沖合移動という要求を引っ込めることはない」と口をそろえた。
一方、移設反対派の二見以北十区の会の浦島悦子共同代表は艦載機の移転に反対していた井原勝介氏落選の報に「負けたの」と声を落とした。「井原さんが勝てば政府に相当な痛手になったはず。全力でつぶしにかかったと思う。井原さんに投票した岩国の人たちも子や孫のことを考えてこれから頑張ると思う。私たちも普天間の移設阻止に向けてあきらめずに頑張るしかない」と運動の継続を誓った。
住民投票でも岩国に出向き井原氏を支援したヘリ基地反対協議会の大西照雄代表委員は、先月にも二日間、岩国入りし、再編反対を訴えた。「福田氏は基地移設とは別の税金問題などを訴えて争点をずらしていた。厳しい選挙だなと感じていた」と残念がった。
宜野湾市の伊波洋一市長は「(米空母艦載機移転による)将来の目に見えない負担より、目の前の補助金に市民の関心が向いたのだろう。残念だ。米軍再編で自治体の声を補助金で曲げさせる、あしき前例にならないか心配だ」とコメント。「すべての市民が受け入れを容認したとは思えないが、今後は市民の選択が試される」と話した。
キャンプ座間への米陸軍第一軍団の新司令部移転に反対する座間市の星野勝司市長は「他の市長選の結果で座間市の基本姿勢は何も変わらない」と静観の構え。
だが米陸軍は昨年末、地元自治体の反対を押し切り新司令部を発足させるなど計画を着々と進めている。
一部の市民からは国との条件闘争を求める意見も。
市民団体「キャンプ座間への米陸軍第一軍団の移駐を歓迎しない会」の金子豊貴男事務局長は「反対運動はこれからで、一喜一憂せずに問題に取り組んでいくことが大事だ」と主張している。