資源に乏しい日本に、思わぬ鉱脈が見つかった。ただ、山師が掘り当てたのではない。先ごろ物質・材料研究機構(茨城県つくば市)がまとめた試算でわかった。
金、銀やレアメタル(希少金属)の国内での蓄積量が、世界有数の資源国といえる規模という。金は世界の埋蔵量の16%、銀は22%、液晶パネルの電極に使われるインジウムは61%に上る。眠っているのは家電製品や廃棄物の中で「都市鉱山」と呼ばれる。
新語のようだが、一九八〇年代の論文に既に登場し、リサイクルの必要性を訴えていた。ところが、せっかくの資源も再利用されず、廃棄物ごと海外に出ていくものが多いという。
レアメタルは日本の先端技術に不可欠な素材で、「産業のビタミン剤」と呼ばれる。しかし、ここ数年は原油など他の資源と同様、世界的に高騰しており、「“日本経済のアキレスけん”になる」(柴田明夫著「エネルギー争奪戦争」)というから事は深刻だ。
経済産業省によると、携帯電話一台(百グラム)に使われている金は〇・〇二グラムで、一万台回収すれば二百グラムの金が再利用できる。現在、企業が回収しているが、さらに促進を図るために資源有効利用促進法の改正が検討されている。
身の回りの電化製品が宝の山に見えてきた。企業のリサイクル技術も進んでいる。鉱脈を掘り出すためのシステム構築が急がれる。