シリーズ累計690万本という大ヒットアクションゲーム「デビルメイクライ(DMC)」。その最新作が、PS3とXbox360で世界同時発売される。「バイオハザード」を生み出したカプコンが2年以上の開発期間をかけ、人気バンド「ラルクアンシエル」が書き下ろしたテーマ曲、映画並みの2時間のムービーを制作。ハイデフレベルの映像と音響で、「スタイリッシュアクション」の世界が堪能できる。
DMCは、「バイオハザードを越える」を合言葉に、01年に登場した。大剣と銃を華麗に使いこなす人間離れしたデビルハンター・ダンテを操作し、いかに格好良く敵を倒すかを追求したゲームだ。発売直後から人気が爆発。世界で216万本を突破し、名作の仲間入りを果たした。
「4」は、いきなりダンテが「敵」として襲ってくる衝撃のシーンで幕を開ける。ダンテの父で、人々のために戦ったとされる悪魔「魔剣士スパーダ」を神とあがめる教団の祭礼の真っ最中に、ダンテが乱入、教皇を暗殺する。主人公の若き騎士・ネロは、不可解な言葉を残して逃げたダンテの追跡を命じられ、市街地では悪魔が人を襲う光景が広がっていた……。
まず、驚かされるのが映像美だ。吹き上がる炎、風に舞って飛び散る草葉、細部までデザインされた衣装に、実写以上の豊かな表情をもった登場人物たち。PS2版では、マシンパワーの不足で、微細な表現が描き切れず、暗闇での戦いだったが、新作では、明るく輝く太陽の下でのバトルや、100メートルはある巨大な敵との壮絶な戦いがド迫力で展開する。
ストーリーも、映像美に負けないち密さだ。ネロとダンテの新旧対決から、ダンテの行動の真意、ネロの青く光り輝く右腕の真実など、謎が謎を呼ぶ展開だ。その物語が、映画と見間違うほどのドラマチックな演出で描かれる。ネロの幼なじみで歌姫のキリエが、悪魔の手のようなネロの右腕を見ておびえて後ずさりし、ネロが「これは……、違うんだ……」と弁解するシーンには、ゲームを忘れて思わず引き込まれてしまう。
さらに、DMCの代名詞といえる悪魔たちを華麗に葬り去るアクションも進化を遂げた。アクション監督を起用し、実在のアクションスターの動きを、ハイスペックの新型ゲーム機で再現した。また、手甲「ギルガメス」や、アタッシュケースが巨砲に変わる「災厄兵器パンドラ」などのユニークな武器が続々登場、ゲームならではのアイデアもあふれている。
飛躍的にパワーが上がる「魔人化」では、ネロの背後に、光り輝く魔人が出現するなど、派手な攻撃が楽しめる。アクションを華麗に決めるには、繰り返しプレーする必要があるのだが、「4」は、初心者にも配慮し、簡単な操作で攻撃できる簡易モードも用意。「1」の金髪碧眼のトリッシュと、「3」のボーイッシュなレディの2人のヒロインが登場するのもうれしい。
PS3本体セット版には、エンディング入り60分ダイジェストディスクの特典が付く。「ムービーも自信がある」というDMCならではの試みだ。
他の大手メーカーも注目するカプコン初のPS3参入作品で、SCEに、「PS3を使いこなしている」と言わせるできばえだ。DSブームで、“非ゲーム”ばやりの昨今、こんな歯応えのある大作に挑んでみたい。
◇小林裕幸プロデューサー 「すぐには超えさせない自負」
ゲームの企画が持ち上がったのは、PS3がベールを脱いだ05年春の米国のゲーム展示会「E3」の直前です。詳細が決まり始めたのは、同年秋のゲームショウ前でしょうか。ちなみに、Xbox360の製作は、07年春に決まって、実質10カ月で作り上げました。
苦労したのは、データ容量を削る作業ですね。最初に凝って作り、それをPS3で動かすと、処理スピードが落ちたんです。そこからは、見た目の質を落とさず、いかにしてデータを軽くするかの繰り返しでした。
昨今の新型ゲーム機のソフトは、「ボリューム不足」といわれていますが、「デビルメイクライ4」は違います。想定クリア時間もPS2版の「3」より長く、当初60分のムービーを120分にしています。初めて遊ぶ人にも配慮して、主人公を新キャラクターのネロに決める一方で、ファンにも喜んでもらえるよう、ダンテや他のキャラも出すなど工夫しました。
PS3初参入タイトルですが、後続組がすぐに超えるのは難しいと自負しています。ぜひ遊んでみてください。
デビルメイクライ4(PS3、Xbox360 PC) 1人用 CEROレーティングC(15歳以上対象) カプコン 各8390円 1月31日発売(PC版の発売時期、価格は未定)
2008年2月1日