金沢市竪町通りのファッションビル「ベルセル」が今春、いわゆる“アキバ系”のテナ
ントを中心とする専門ビルに全面改装する。同人誌やフィギュア、カードなどマニア向け
の店舗のほか、乙女心をくすぐる少女趣味のファッションブランドも入る。“アキバ系”
テナントが集積するビルは地方都市では珍しく、金沢商圏にコアな客層を呼び込む広域集
客ビルの一つとなりそうだ。
ベルセルは、一―三階の全館を総入れ替えし、三月八日に改装オープンする。新たに入
居する十五テナントの多くが北陸初登場で、古着やカジュアル衣料のテナントが中心だっ
た従来の店舗戦略を見直し、ターゲットを絞った内容に一新する。
二、三階は“アキバ系”のフロアとし、先行開業した「アニメイト」やフィギュアの「
ボークス」に加え、地元金沢の女性向け同人誌「KAC」、男性向け同人誌「グレップ」
などが入る。
また、トレーディングカードの「マナソース」、フィギュアの「ギャング」、コスプレ
用かつらの「メイプル」、中古レコードの「ホットソウルカーゴ」も出店。フリルやレー
スを多用した少女趣味のロリータ系の服を扱う「ハートE」は、小売店とカフェを併設し
、ブランドの世界観を演出する。
一階は、ロリータ系やパンク系、中世ヨーロッパの服装をイメージした“ゴスロリ系”
のファッションテナントで統一する。ロリータ系の「アンジェリックプリティ」、ゴスロ
リ系やパンク系の「ピースナウ、ブラックピースナウ」「KERASHOPAREA」「
KERASHOP」「スーパーラヴァーズ」、さらに靴の「ベリーズ」が入居する。
ビルを管理する細田商事(金沢市)によると、“アキバ系”などサブカルチャーのファ
ンは地方都市でも多くいるが、こうしたテナントを集積したビルは大都市圏以外にはほと
んどないという。
細田泰成社長は「金沢は、ライブハウスの活動や同人誌のイベントが盛んなので、ニー
ズは大きい。北陸だけでなく、滋賀や岐阜、新潟などからの集客が見込める」とする。ビ
ル全体の初年度売上高は十二億円を目指す。
竪町通りは、金沢フォーラスや香林坊109に若い世代の客足が流れ、このところ苦戦
を強いられている。このため、竪町通りにあるファッションビル「金沢パティオ」は、大
人世代を対象にした海外ブランドを導入するなど、若者だけでなく、幅広い客層を取り込
む作戦に出ている。
ベルセルの大改造について、竪町商店街振興組合の東川庄一理事長は「新ジャンルの文
化をいち早く取り入れることで、これまでと違った客層の流入が期待できる。今後も、常
に流行を発信するまちとして存在感を示していきたい」としている。