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【社会】手料理じゃなきゃ ギョーザ余波『冷凍買わない』2008年2月11日 07時16分
中国製ギョーザ中毒事件で、冷凍食品離れが進んでいる。日本冷凍食品協会の調査によると、二〇〇六年に輸入された調理冷凍食品は約千四百億円で、うち中国からは約八百億円余りとウエートが高い。だが、事件をきっかけに、中毒被害を出した天洋食品製以外の冷凍食品にも、消費者の買い控えが広がっている。冷凍食品を以前ほど買わなくなった人の間では、自分で調理する“手料理回帰”の動きも起きている。 (稲垣太郎) 「手間はかかるけど、子どもの安全を考えると仕方ない。冷凍食品は買わなくなった」。東京都豊島区にあるショッピングセンターの駐輪場。自転車に乗って出てきた主婦(34)はそう話す。 それまで買っていたのは「自分では作れない小籠包(ショウロンポウ)と、子どもが欲しがった時にすぐに出せるフライドポテトとピザ」。 だが、事件で冷凍食品への不信感が強まり、小籠包は我慢し、フライドポテトやピザは家で作ることにした。「結局、家で作るのが一番安心なのかなとあらためて思った。でも働いているお母さんは大変だと思う」と思いやった。 職場からの帰宅途中、港区のスーパーで買い物を済ませた会社員の女性(48)も「冷凍食品を買う量が減って、結果的に手作りが増えた」と言う。 夫と子ども二人の四人家族。「私が働いていることもあって百パーセント手作りは無理。手料理を少し増やすことと、表示がしっかりしているお総菜で、しばらく様子を見たい」と話した。 「安い居酒屋にはもう行かない」。そう言うのは、同区の別のスーパーで缶ビールを買って出てきた無職の男性(67)。 かつて料理人をしていた経験から、知り合いと利用する居酒屋の料理は「冷凍食品でなければつけられない値段だ」と言う。「これからは高くついても手作りの店に行かざるを得ない」と話した。 品川区の自宅で料理教室を開く黒田亜衣子さん(40)は「冷凍食品や外食を敬遠し、健康のために料理を習う人は、男女を問わず増えている。便利なものに頼っていた人たちが、自分で料理を作ろうと変わるのはすごく良いこと。手料理が安心です」と語った。 (東京新聞)
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