<万波医師>米国から死体腎を空輸して男女に移植 82年
手法や手続きが問題になっている一連の病気腎移植を執刀した万波誠医師(66)が、愛媛県宇和島市の市立宇和島病院に勤務していた82年6月、米国人女性の死体腎を空輸して県内の男女に移植する当時の日本では珍しい手術を実施した。男性は手術直後に死亡、女性も約2カ月後に拒絶反応を起こして腎臓を摘出し、人工透析生活を送った。05年6月に病死した女性の夫(68)が毎日新聞の取材に応じ、「妻は新しい手法の実験台だったのか。自分には詳しい説明はなく、今も手術が正しかったのか分からない」と話した。
夫の話などによると、女性は慢性腎不全に苦しみ、81年末ごろに同病院で万波医師の診察を受けた。しばらく人工透析を続けたが症状が悪化。移植を勧められたが適合するドナー(臓器提供者)が親せきにおらず、悩んでいる時、万波医師から「外国から腎臓を運ぶ方法ならある。どうしますか」と言われた。
「そんなことができるのか」。悩んだが、女性は「先生を信用してやってもらうよ」と手術を承諾。腎臓は、万波医師が研修したウィスコンシン大が無償で提供し、女性は82年6月21日、松山市の男性と共に、市立宇和島病院で移植手術を受けた。腎臓は19日に交通事故死した米国人女性のものだった。
空輸死体腎の移植は、日本では約1年前、仙台社会保険病院などで行われたばかりで、四国では初めてだった。地方都市で行われた万波医師の手術は話題になり、腎臓を輸送した技師らには宇和島市長の感謝状が贈られた。
しかし、男性は翌日に死亡。女性は7月に無事退院したが、8月ごろから微熱などの拒絶反応が続き、移植した腎臓を同病院で摘出した。この際、万波医師は「これはもう出しましょう」としか説明しなかったという。
万波医師はその後もたびたび腎移植を勧めたが女性は拒否し、05年に死亡するまで透析治療を続けた。夫には「もう移植は嫌。透析の方がまだまし」と話していた。
夫は自宅で取材に応じ、「万波先生は技術が高く、新しいことに挑戦したがっている印象を受けた。しかし、(空輸の死体腎移植が)珍しい方法だとか、(移植する)腎臓についての説明はあまりなかった」と明かした。「妻は長く生きられた。万波先生に恨みはない」とする一方、「病気腎移植などの報道を見て驚いた。外国からの空輸も『実験だったのでは』と思ってしまう」と静かに話した。【茶谷亮】
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