<25回目>
繰り返しの質問に悩み
■人に教える快感
皆さんの周りに、やたらパソコンに詳しい人、いわゆる「パソコンオタク」がいませ
んか? 一人いれば便利なことこの上ありません。しかし、このパソコンオタクには共
通した悩みがあるようです。
パソコンオタクにはよく電話がかかってきます。「あのー、プリンターが動かないん
ですが、見てもらえませんか?」「あぁ、いいですよ」。気軽に引き受けるのは初級の
オタクです。
パソコンのトラブルの多くは手順の間違いなど、ごく単純なことが多いので、オタク
にとっては朝飯前、簡単に片付きます。そして、相手からはあつい感謝の言葉と尊敬の
まなざしが…。
もう「快感!」のひと言につきます。いったん、この快感を味わうと、自然とオタク
度が増してきます。多少難しいトラブルでも無理して引き受けるようになるからです。
パソコンの場合、知らないことでもマニュアルを読んだり、インターネットで情報を探
せば、大抵解決しちゃうんです。
■「できる人」の評判
そして「彼はパソコンができる」といううわさは人から人へ伝わり、電話の数も増え
ていきます。最初は楽しんでいたトラブル相談もだんだんと苦痛になってきます。さら
に悪いことに、だれかが間違うところは他の人も間違うことが多いのです。かくしてオ
タクは、同じ質問に何度も何度も答えるハメに陥ります。
同じ質問に何度も答えさせられるという現象は洋の東西を問わないようで、インター
ネットでは「FAQ」という文書があちこちで見つかります。この名前はFreque
ntly Asked Questions(よく出される回答済みの質問)の略称と
説明されていますが、もとはエディー・マーフィーが得意なののしり言葉だったことは
容易に想像されます。質問が出たら、この文書を渡して「FAQ YOU!」というわ
けですね。
■相談にイライラ
オタクのイライラが高じてくると、こんなこともおきます。
「またプリンターが動かないんですが」。行ってみると案の定、同じ間違いをしてい
ます。「この間、ここはこうだと言ったでしょ!」「ごめんなさいっ!」。二回目はお
互いにばつの悪いものです。
パソコンにハマる人は人付き合いの苦手な人が多いですから、相談を上手に断ること
もできません。イライラしながらもトラブル相談を続けていくことになります。私のよ
うに長年オタクをやっていると、「それは何とかさんが詳しいよ」と人に振ったり、
「知らない」と平気で言えるようになるんですけどね。
■サービスはタダか
最近では、この悩みを逆手にとって商売を始めるオタクもいるようです。月二〜三万
円で「保守契約」をしてパソコンの電話相談と維持管理を引き受けるものです。一種の
コンサルティング会社ですが、成功するのはなかなか大変のようです。
「日本人はアフターサービスはタダと思っている」とか「無形の知識にお金を出した
がらない」などといわれますが、それがここでも実証されているのかもしれません。
パソコンが普及しオタクの数も急上昇していますが、パソコン相談を必要とする人の
数もまた増えています。当分オタクの苦悩の種は尽きそうにありません。
まあ、オタクをやるのも悪いことばかりではありません。ちゃんとした見返りが返っ
てくることも(たまには)ありますし、それで彼女ができることだってあります。私の
妻もその一人だったんですから。
(福岡工業短大講師・小田誠雄)
▼CG・瀧理恵
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