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【溶けゆく日本人】蔓延するミーイズム(6)ダイエット志向 (2/4ページ)
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東京都内で暮らす女性会社員(33)の部屋には、ヨガマットや高性能のエアロバイク、バランスボールなどさまざまなダイエットグッズがあふれている。
身長は168センチ。肥満というほどではないが、太めの体重がいつも気になっていた。これまでにチャレンジしたダイエットは「骨盤たたき」「測るだけ」「食前キャベツ」「痩身(そうしん)入浴術」…。
「ダイエットの本を読むだけで幸せな気分になる。今の私は仮の姿。スレンダーでキレイな”本当の自分”を見たいからやめられない」と楽しそうに語る。
初めての減量経験は高校1年。当時流行した卵だけを大量に食べる減量を続けていたら、じんましんができた。大学時代は、同じ研究室の友人3人が過度な減量で生理が止まった。昨年大流行した、軍隊式訓練でやせるという「ビリーズ・ブートキャンプ」は1日で挫折した。それでも話題の方法があれば試したくなる。
この女性のように、「やせなければ」「自分の体形をなんとかしなければ」と強迫観念のように思い込む人は珍しくない。
「現代の日本人にとってダイエットは、年齢、性別を超えた国民的関心事で、生活の一部になっている。特に若い女性には毎日の単調な生活に目標やアクセントを与えてくれるイベントともいえる」
『ダイエットがやめられない』(新潮社)の著者で、10年間にわたり雑誌の特集にかかわってきた片野ゆかさんはこう指摘する。最近は生活習慣病やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策への関心が高まり、日本人の「やせ願望」は中高年男性から高齢者にも広がっているという。事実、以前ならほめ言葉とされていた『恰幅がよい』『貫禄がある』といった表現を使う人は少なくなっている。
過剰なまでの「やせ願望」を反映して、この20年で日本女性の体格はどんどんスリム化した。