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【溶けゆく日本人】蔓延するミーイズム(6)ダイエット志向 (1/4ページ)
このニュースのトピックス:溶けゆく日本人
■子供にまで広がる「やせ願望」
「ママ、食べ過ぎると体によくないんだよね」
東京都内に住む母親(37)は6歳になる娘の言葉に一瞬、耳を疑った。
幼稚園児の娘の身長は120センチ、体重20キロ。同年代の子供に比べてやせている。その娘が朝食のスープに入っている脂身たっぷりのベーコンをつつきながら、「太ると早死にするんだって。太りたくないよ」と食べ残したのだ。心配した母親が問いただすと、テレビの健康番組の影響を受けていた。
東京成徳大学子ども学部の深谷和子特任教授(児童臨床心理学)とベネッセコーポレーションが平成13年、東京都と埼玉県の小学校4〜6年の児童約1100人を対象にした調査では、女子の約69%が「今よりやせたい」と回答。その理由として「見た目がいいから」と答えた女子は82%に上った。この傾向は男子にもみられ、男子でも41%が自分を「太っている」と思い、45%がやせたいと回答。女子の4割にはダイエット経験があり、その方法として甘いものや油の制限、運動のほか「おなかいっぱい食べない」と答えた子は26%に達した。
やせ願望とダイエット志向が中高生から小学生へと低年齢化する現状について、深谷さんは「メディアで流される細身=美という大人の価値観をすり込まれている可能性がある。特に成績や友人関係に漠然とした不満をもつ子は自分を変えたいという願望があり、やせることですぐにでも新しい自分になれる、素晴らしい人生が開けるという期待もある」と分析する。
「太るから」「やせなきゃ」といった家庭内での何気ない会話をまねてか、最近はおやつのケーキを「太る」と嫌がる幼稚園児も珍しくないという。