■「ニコニコ動画」のブレイク |
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――「ニコニコ動画」のいまの人気について、どう思いますか? |
「思ったよりも早かったですね」
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――というのは、人気が出るのが? |
「2006年12月にオープンしたんですけど、最初はそんなに流行らなかったですよ。『動画の上にコメントを載せるってそんなに面白いの?』って。でも、2ちゃんねるユーザーが流れてきて。彼らは匿名で短いテキストをやりとりすることでコミュニケーションを取るのが得意なんです。それで、一気に人気がでましたね」
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――「ニコニコ動画」の楽しさって何なんでしょうか? |
「友達の家でテレビを見ているときって、番組そのものよりも、くっちゃべっているのが楽しいんですよね。番組に出ている女の子を「この子、かわいいよね」って、しゃべる感じ。雑談しながらヒマつぶしをしているような「淡い感じ」を拾えればいいかなって」
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――なんで「ニコニコ動画」がなぜ、視聴者からも人気なのでしょう。 |
「どんなつまらない動画であったとしても、誰かがツッコんだ結果、面白くなるものがある。動画だけの魅力だけじゃないんですよ。コメントがついていて、どうしようもなくつまらない動画って、あんまりない。そこが他の動画共有サービスと違うんじゃないですかね」
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――ひろゆきさんが、最近「ニコニコ動画」で楽しいと思っている動画はありますか? |
「以前は『永井先生』といって、すごく下手なゲームプレイをする人の動画がすごく面白かったです。ただ、最近は面白い動画を探すのが大変だということもあって、なかなか見つけられません」
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――ただ観る、ただコメントをつけるだけじゃなくて、視聴者にも新しい楽しみ方が生まれつつありますよね。たとえば、弾幕といって、画面をコメントで埋め尽くす遊びが流行ったり。 |
「ああいうのって自発的なものなんですよね。コメントだけで絵を描く、職人さんがいるんですけど、最近はすごく進化していて。『ニコニコ動画』ってコメントの文字数によって文字がスクロールする速度が変わるんですよ。その速度を計算して、画面の真ん中で絵ができるようにコメントをつける人がいるんです。あれはすごいなと思いました」
■テレビとインターネットの違い |
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――昨今、テレビがインターネットと競合しているということが話題になりますが、「ニコニコ動画」と「テレビ放送」の違いって、どこだと思いますか? |
「やっぱり別モノですよね。1000万人向けに作るのがテレビの番組だと思うんですよ。でも、それじゃ面白くないと思う層っていうのが必ず10万人ぐらいいて。その10万人を救うのがネット側の役目なんだろうなと。テレビじゃ、ネコが鍋に入っても、どうしようもないですけど、ネコ大好きな人なら見たくなる」
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――猫鍋の動画を『ニコニコ動画』で観るわけですね。メジャーとニッチの違いというか。 |
「本当に面白い映像が見たいのなら、映画館に行けばいいと思うんですよ。あるいはテレビ局の制作会社は、面白いものをつくっていると思うし。ただ、『ニコニコ動画』は別に動画の面白さ勝負をしているわけじゃないんで。動画の質にこだわらず、みんなでコミュニケーションするのが楽しいんですよね」
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――映像としての完成度ではなくて、親しみみたいなものが重要ということでしょうか。 |
「もともとネットってそういうもんじゃないですかね。たとえば、テレビと友達の結婚式のビデオだったら、友達の結婚式のビデオを見ますよね。自分に近いもののほうが面白く感じると思うんですよ。コメントでコミュニケーションできる『ニコニコ動画』のほうが、テレビよりも親近感を持ちやすい。そういうことじゃないですかね」
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