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社説

医師の辞任 悪循環断つ知恵を絞れ(2月11日)

 オホーツク圏の二つの拠点病院で医師が三月末で相次いで辞めることになり、一部の診療科が休診する。

 転院を余儀なくされる患者への影響が最も心配だ。

 事態がここまで深刻になる前に何か打つ手はなかったのだろうか。

 北見赤十字病院では「内科」の医師六人が全員辞める。このままだと、内科は四月から休診の見通しだ。

 網走管内で唯一専門治療を手がける膠原(こうげん)病とリウマチの入院患者が旭川や帯広に転院する事態も十分あり得る。

 道立紋別病院では、内科系の常勤医五人のうち、循環器内科と消化器内科の各二人が辞める。残る消化器内科の一人も秋で辞める意向だ。

 四月から、消化器内科の医師を一人確保できることになったが、循環器内科は休診の可能性が強い。

 人工透析で通院する三十人余の患者の多くは四、五十キロ離れたほかのまちの病院に通うことになりそうだ。

 医師がなぜ辞めるのか。大学からの派遣年限に達した、開業する、臨床研修を受ける、と表向きはさまざまだ。

 辞める時期が予想できたケースもある。病院側が早く対処すれば影響を最小限に抑えられたのではないか。

 医師撤退の背景には、勤務医の過酷な労働実態がある。医師が不足するなかで、二十四時間の救急医療まで担う拠点病院の場合は深刻だ。

 ただ、厳しい事情を考慮したとしても、治療中の患者を半ば放り出すような格好で立ち去るのはどうか。北見で一度に六人も辞めるのは異常だ。

 後任確保の見極めがつくまでの間、とどまることはできないのか。

 地元や道は医師育成の大学に協力を求めているが、まとまった人数の医師を短期間で確保するのは難しい。

 地方の医師不足は、若い医師に二年間の臨床研修が義務づけられて大学でも医師が足りないことも原因だ。最後は国の責任で医師を派遣すべきだ。

 休診する場合、病院は入院患者の転院先を確保し、外来患者については個々の病状や事情に応じて適切な医療機関をあっせんしなければならない。

 二十四時間の救急体制を確保する努力も要る。救急の仕事はきつい。残る医師の負担増がさらなる医師の流出を生む悪循環は断ち切りたい。

 地域の開業医の協力を得て、住民が安心できる体制を維持してほしい。

 市町村立病院や赤十字など公的病院の医師不足は全道的な問題だ。

 地方勤務を条件にした医学部の学生や研修医対象の奨学金制度が本格化する。ただ、医師として独り立ちするには十年かかり、即効性はない。

 道がまとめた自治体病院の再編・集約構想を住民の理解を得ながら実行する時が来ている。

 医師がこれ以上流出すれば、再編・集約自体に支障が出かねない。

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