2008年02月11日 更新

帰ってきたぜベイベー!がん克服、清志郎が武道館単独ライブ

右手を高々とつき出し、完全復活をアピールした忌野清志郎。360度囲んだ客席も総立ちで祝福した

右手を高々とつき出し、完全復活をアピールした忌野清志郎。360度囲んだ客席も総立ちで祝福した

抗がん剤で抜けた髪も“復活”してフサフサだ=東京・北の丸(撮影・財満朝則)

抗がん剤で抜けた髪も“復活”してフサフサだ=東京・北の丸(撮影・財満朝則)

 喉頭(こうとう)がんを克服し、昨年12月から活動を再開させたロック歌手、忌野清志郎(56)が10日、「完全復活祭」と題し、東京・北の丸の日本武道館で2年2カ月ぶりの単独公演を行った。「オーイエー!! 帰ってきたぜベイベー!!」と1万3200人に手をふり、張りのある歌声とエネルギッシュなステージで、3時間、24曲を歌い切った。アンコールでは長男と長女がサプライズで登場。清志郎の目頭を熱くさせた。

 「なぜ、ここで家族を出すんだ…」

 バックバンドが退き、1人ステージに残ってギターの弾き語りでラストソング「LIKE A DREAM」を歌い終えた直後だった。スタッフの計らいで長男の竜平(たっぺい)さん(19)と長女の百世(ももよ)さん(16)がステージに現れ、復活した父親のために花束を贈呈。予期せぬ出来事に、清志郎は思わず目頭を熱くした。客席には夫人や親友の俳優、竹中直人(51)の姿もあった。

 「応援してくれたすべてのヤツに感謝です。勇気を与えてくれたみんなに、どうもありがとう。心配かけたぜベイベー!! ここに戻ってくることを夢見てたぜ。完全復活しちゃったからね。最後まで見届けてくれベイベー!!」

 3カ月前まで病魔と闘っていたとは、とても思えない声の張り、そしてエネルギッシュなステージ。何もかもが、清志郎そのものだった。

 元気な姿を後ろから前からすべて見てもらおうと、ステージは360度客席に囲まれていた。超満員の1万3200人はライブが始まる前から総立ちになり、手拍子で清志郎の登場を待った。

 そして、2つの大きなスクリーンには、抗がん剤の影響でスキンヘッドの清志郎が映し出された。コマを追うごとに彼の頭髪は伸び始め、髪の毛を逆立てステージ衣装を着るまで元気になっていく、1年半の軌跡を公開した。

 清志郎はRCサクセション時代の「スローバラード」「雨上がりの夜空に」や入院直前に発表した「激しい雨」など24曲を熱唱。「愛しあってるかい? ご機嫌だぜベイベー」と決めぜりふを連発し、何度もマイクを振りまわすパフォーマンスで沸かせた。RC時代からの盟友、チャボこと仲井戸麗市(57)もギターでサポートした。

 約3時間のステージをパワフルに完走。この日のために、昨秋から自宅とリハーサル会場を大好きな自転車で往復し、体力作りに励んできた。その賜物でもあった。同じ病気で苦しむ人たちに勇気と希望を与えた清志郎は、生涯一歌手として、これからも走り続ける。

★今後も精力的にライブ活動

 清志郎は平成18年7月に喉頭がんと診断され緊急入院。医師から声帯摘出手術を促されたが、歌手生命が絶たれることから拒否し、放射線療法を選択。さらに、玄米菜食法や漢方など民間療法も取り入れ、がん細胞を消滅させたという。

 昨年11月に完全復活を宣言し、同12月8日のジョイント公演「ジョンレノン スーパーライブ」でステージ復帰。大みそかの「カウントダウンジャパン」にも出演した。

 今後は、今月24日に大阪フェスティバルホール、3月2日に京都会館第一ホール、4月26、27日には宮城県川崎町のエコキャンプみちのくで野外ライブを行う。