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男子100キロ超級準決勝 延長の末、フランスのリネール(左)に敗れた井上康生
Photo By 共同
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康生、復権ならず――。柔道のフランス国際最終日は10日、パリ・ベルシー総合体育館で行われ、男子100キロ超級準決勝で、井上康生(29=綜合警備保障)が昨年の世界選手権覇者テディ・リネール(18=フランス)に延長の末に優勢負けした。昨年の世界選手権で敗れたリネールに返り討ちに遭った井上は、3位決定戦では一本負けして5位に終わり、北京五輪代表争いで大きく後退した。
【Go!アスリート 井上康生】
悪夢は再び起こった。準決勝。井上の目の前には、昨年の世界選手権で微妙な判定の末に敗れた18歳のリネールがいた。5分間の試合では両者ノーポイントで、迎えた延長1分30秒すぎ。強引な背負い投げに入った井上は、リネールにつぶされるように沈み、仰向けに返された。効果。「自分のレベルはこれくらいかなと思った。五輪に向けて、赤信号に変わったかなと思う」と力なく声を絞り出した。
昨年は復活優勝を果たしたフランス国際。しかし、今年は「負ければ、先はない」戦いだった。昨年は世界選手権で5位、12月の嘉納杯では全日本選手権に続いて石井慧(21=国士舘大)に敗れた。アテネの惨敗から立ち上がり、北京での雪辱を誓った日から3年余り。柔道を始めて以来、最大のピンチに立たされていた。
先月15日に亜希夫人(25)と結婚し、1人ではなく、2人での戦いへの変化は、井上自身が渇望したものだった。しかし、甘くはなかった。初戦の2回戦は一本勝ちしたものの、続く3回戦では無名選手相手に延長の末に判定勝ちする大苦戦。4回戦のファンデルヒースト(オランダ)には大内刈りで一本勝ちしたが、最初は相手の返し技に一本を宣せられる薄氷の勝利だった。
3位決定戦でもタングリエフ(ウズベキスタン)に一本負け。ドイツ国際に出場する棟田康幸(27=警視庁)、オーストリア、チェコを連戦する石井の結果にもよるが、五輪代表の座がまた遠のいた。残るチャンスは4月の全日本選抜体重別、全日本選手権の国内選考2大会。輝かしいキャリアの終着駅と決めている北京へ向け、井上が追いつめられた。
<女子70キロ級 上野気持ち入れ替え3位>アテネ五輪金メダルの上野は、準決勝で昨年の世界選手権女王のエマヌ(フランス)に2度有効を奪われ、完敗。しかし、3位決定戦では気持ちを入れ替え、小外刈りで一本勝ちした。昨年は世界選手権代表を外れ、どん底を味わったが、嘉納杯東京国際で復活優勝。この大会は海外での復帰戦となったが、まずまずの手応えを得たはずだ。
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