2008年02月11日 更新

【柔道】井上康生、準決勝で敗れ五輪厳しく…亜希夫人も涙

準決勝の延長敗退に続き、3位決定戦でも一本負けし、呆然とする康生(共同)

準決勝の延長敗退に続き、3位決定戦でも一本負けし、呆然とする康生(共同)

 フランス国際最終日(10日、パリ)100キロ超級の井上康生(29)=綜合警備保障=は準決勝で07年世界選手権金メダリストのテディ・リネール(18)=フランス=に延長戦で敗れ、3位決定戦でも負けた。新妻・亜希夫人(25)が見守る前で無念の惨敗。100キロ級の穴井隆将(23)=天理大職=も準決勝で敗れて3位決定戦へ。女子は70キロ級の上野雅恵(29)=三井住友海上=が準決勝で負けたが、3位決定戦には勝った。9日の第1日は、男子60キロ級の平岡拓晃(23)=了徳寺学園職=が優勝した。

 康生の北京への道が身長2メートル04の押し倒しに阻まれた。リネールとの準決勝は延長戦へ。康生は低い姿勢で背負い投げに入ったが、強引に返され腹ばいに倒れた。小外刈りの「効果」で敗れた。

 昨年の世界選手権2回戦で小内刈りを捨て身技で返され、微妙な判定で敗れた。この日は21センチの身長差で奥襟をつかまれ、組み手争いに苦戦。得意の内またも完全形で入れなかった。ショックを引きずり、3位決定戦でも一本負け。

 愛する夫の悲惨な姿に、客席で見守った新妻・亜希夫人は顔を覆って涙を流した。五輪代表は4月29日の全日本選手権で決まるが、今回の無残な敗戦は痛い。「(五輪出場は)ここに来るまでは黄信号だったけど、赤信号に近い状態になった」と康生もうなだれる。復活どころか、北京代表への道がますます遠くなった。

(周伝進之亮)

★男子60キロ級・平岡は会心V

 男子60キロ級の平岡拓晃(23)=了徳寺学園職=が5戦中4戦で一本勝ちの会心V。同級で五輪3連覇中の野村忠宏(33)=ミキハウス=の対抗馬に名乗りを上げた。決勝は残り2分37秒でアテネ銅の崔敏浩(韓国)に技ありを食らったが、渾身の内股で技ありを奪い返し優勢勝ち。「五輪を思って、ここに照準を合わせていた」と胸を張った。4月の選抜体重別選手権は雌雄を決する代表選考。「周りに“北京は野村さんの4連覇”って言われたほうが僕も燃える」と強気だ。

★内柴も北京ピンチ

 アテネ五輪男子66キロ級金メダリスト、内柴正人(29)=旭化成=は決勝で金周珍(韓国)に横落としで投げられ一本負け。1月のグルジア国際から欧州遠征2連敗に顔をしかめた。「これで北京に行けると思っていない。日本でも内柴は強いと見せたい」。五輪を07年世界選手権代表・秋本啓之(22)=筑波大4年=と争うが、立場は苦しい。

◆女子63キロ級で準Vの上野順恵

 「今年初めての大会だし、もっとアピールしたかった。悔しい」

◆女子48キロ級準決勝でアテネ五輪銀のジョシネ(フランス)に一本負けの福見友子

 「一緒に練習したこともあるけど、試合は違った」