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井上康生、五輪へ正念場 柔道仏国際9日開幕

2008年02月09日12時01分

 柔道男子100キロ超級の井上康生(綜合警備保障)が、9日にパリで開幕するフランス国際に出場する。00年シドニー五輪100キロ級金メダリストも最近は不振で、五輪代表争いでは厳しい立場に置かれている。北京五輪の前哨戦とも言える欧州最大級の大会で結果を残し、五輪3大会連続出場に向けて巻き返しを図りたいところだ。

 8日午前、日本代表は大会会場となるパリ市内のベルシー総合体育館の練習場で約2時間、汗を流した。井上は念入りに技や組み手を確認し、10日の試合に向けて調整した。「体調は大丈夫。気合は入っています」とピリピリムード。フランスでの井上人気は高く、昨年も大声援を受けた。「日本とは違う雰囲気で、楽しみ」と前向きだ。

 ただ、井上は昨年のこの大会以来、優勝から遠ざかっている。05年に手術した右肩の影響からか、右手一本で相手の動きを制す本来の形を取り戻せていない。得意の内またも決まらなくなってきた。昨年9月の世界選手権でメダルを逃した後は引退も考えた。いま、五輪代表争いでは世界選手権無差別級金メダルの棟田康幸(警視庁)、昨年の嘉納杯優勝の石井慧(国士大)に続く3番手だ。

 棟田はドイツ国際、石井はオーストリアとチェコ国際に出場する。井上がフランスで敗れ、棟田や石井が欧州で好結果を残すと五輪代表争いは絶望的になる。井上としてはここで優勝し、4月の選抜体重別と全日本選手権での決着に持ち込むしかない。まさに正念場だ。

 勝負にこだわり、ポイントを稼いで勝つ柔道へとスタイルを変えるべきなのか、井上には迷いもある。「(昨年12月の)嘉納杯であんなに応援してくれたのは、自分の柔道に共感してくれているから。でも負けたらしょうがない」。鮮やかな一本勝ちを望む周囲の期待と、結果が出ないことへのもどかしさ。苦しみは続く。

 先月、タレントの東原亜希さんと結婚した。「苦しい時に支えてくれた亜希さんに、大舞台に向かうにあたって支えて欲しいと思った」と井上は結婚会見で語った。東原さんは大会に駆けつける予定だ。

〈五輪代表の選考方法〉

 五輪代表は国内の各選考会や海外の主要大会での結果、過去の実績を考慮して全日本柔道連盟の強化委員会で決める。フランス国際とドイツ国際は世界の一線級が集まるハイレベルの大会で、選考材料として重視される。五輪では無差別級がなく、男子の最重量級は100キロ超級だけが実施される。

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