たった600円で行けるスキー&グルメ&温泉の旅

圏央道開通で可能になった「高速ループ」

北澤 強機(2008-02-10 19:10)
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 東京を出発し、埼玉、群馬、長野、山梨、神奈川という5県を、高速道路でドライブして巡り、それぞれの特産グルメに舌鼓を打って、温泉やスキーを楽しんで、特産品のおみやげを買って帰ってきた。私の場合はオートバイで行ったのでかかった高速代はたったの600円!! (※1:普通車の場合は700円)。ガソリン代は約2500円(燃費約30キロ/リッターで約16リッター使用)。
 
 なぜこんなに安い旅が可能なのか?

 この激安旅行、ドライブ好きの人たちの間では、かなり流行しているらしい。

 安さの理由は、07年に部分開通した圏央道によるもの。中央道の八王子インターから入り、圏央道で関越道に行き、上信越道、長野道を経由して中央道へ戻る、全長約470キロの巨大なループができあがったことで、ぐるっと450キロを走って相模湖インターで降りても、短い方の約20キロ分の料金しか引き落とされないことを利用したものだ。
圏央道、八王子JCT~鶴ヶ島JCT開通によって実現した激安旅だ(撮影:北澤強機)

 早い話が、途中下車しなければいいということ。

 例えば電車に乗っているときに寝過ごして目的地を乗り過ごし、先の駅で戻ってきても追加料金を取られないことと同じ。もしくは首都高速を何周回ろうとも料金が同じであることと一緒だ。

 「えーっ、でも高速道路を降りないなら、なんの楽しみもないじゃない!?」という人もいるかと思う。いやいや、スキーやスノーボードも、温泉も、グルメも、森林浴も、すべて楽しむことができるのだ。実体験してきたので、まずはご覧あれ。

八王子~鶴ヶ島JCT~藤岡JCT

 朝9時、中央道の起点八王子インターをスタートした。しばらくすると八王子ジャンクションがある。ここで圏央道(青梅、関越道方面)へ行き、鶴ヶ島ジャンクションまで進む。圏央道は、いかにも山の中をかいくぐるように作られているために、トンネルが多く景色もいまいちである。

 鶴ヶ島ジャンクションでは、「新潟方面」「練馬方面」が別れているので、「新潟方面」へ。関越道に入るとまわりに高い山やビルは少なくなるため、空が大きくひらけたような気分になり、気分爽快だ。先を急ぐ旅でもないが、ドライブが気持ちよいため高坂SA、嵐山PA、寄居PA、上里SAはとりあえずパスした。

 関越道をしばし進むと、藤岡ジャンクションに至った。ここは、上信越道(藤岡、長野方面)と北関東道(伊勢崎方面)、関越道(新潟方面)と分かれる。ここでは上信越道を選択。藤岡PA、甘楽(かんら)PAを過ぎていくあたりは、雪化粧の山々が美しかった。

藤岡JCT~佐久平PA~更埴JCT

白い容器の復刻だるま弁当(1300円)もあった(撮影:北澤強機)
 約147キロを走ったところで時間は午前10時40分。出発から約1時間半ということで1回休憩する。入ったのは横川SAだ。このサービスエリアでは、名物「だるま弁当(900円)」が食べられる。なんてことない幕の内風ではあるけれど、貯金箱として使える樽間の容器がカワイイ。もちろん捨てずに持って帰る。

 また、横川SAには妙義山を望む展望台がある。池波正太郎好きの私は「鬼平に出てくる妙義の團右衛門の在所かぁ……」と、見上げることしばし。「鬼平犯科帖」はフィクションだから史実とは無縁だが、文学心を刺激された。

スキーやスノーボードが楽しめる、なんでも晴天率が日本一高いスキー場でもあるらしい(撮影:北澤強機)
 長野県に入ると、お待ちかねの佐久平PA。ここは、全国唯一のスキー場の直結パーキングエリアだ。もちろんウエアや板などのレンタルも可能(別料金)。リフト料金は平日大人1日で2800円。シニア、ファミリー、小学生などには割引がある。

 またこの佐久平PAは、本格的な信州そばが食べられる「手打ちそば ひらお」や、森林セラピー基地「平尾の森」、世界のカブトムシが展示されている「カブトムシドーム」や「昆虫体験学習館」、「キッズランド」が併設されているほか「キッズランド」など、子どもたちが楽しめる施設がいっぱいだ。

 ここで、薪を使って石窯で焼く本格的ピザ(各種1000円~1100円)を楽しむことにした。チョイスしたのは「トマトモッツレラ(1000円)」。ドリンクは信州限定「ブルーベリーラムネ(200円)」。カリカリの薄い生地に、どっしりと重いチーズがたまらない。

 上信越道の山々の景色を楽しんで、つぎに立ち寄ったのは東部湯の丸SA。ここでは、ご当地のヒーロー真田幸村の旗印、六文銭をあしらったグッズが売られているほか、手作りパンの店が入っているため、380円でブレッド&ドリンクバー(午前9時~11時、午後2時~5時)が楽しめるようだ。

 さて道は更埴(こうしょく)ジャンクションにさしかかった。ここでは「中央道方面(更埴、松本方面)」と「北陸道(長野、上越方面)」に別れるので、中央道方面へ進路をとり、長野道を走る。

更埴JCT~岡谷JCT~諏訪湖SA

ピリ辛野沢菜味のおやき。ちょっと高菜漬に似ている感じがした(撮影:北澤強機)
 姥捨SA、筑北PAはとりあえずパス。松本市のちょぃと手前の梓川SAへ。ここでしか食べられない信州グルメが満載だ。まずは信州名物の「おやき」。かぼちゃ、なす、きんぴらごぼう……。数あるなかから梓川SA限定の「ピリ辛野沢菜(230円)」をチョイス。本来、野沢菜はピリ辛ではないそうだ。

 SA内の「レストラン梓川」では、ニジマスとブラウントラウトを交配させた「信州サーモン」のステーキ(定食で1365円)を堪能することにした。ボリュームがすごい。脂のノリは上品で、かなりおいしかった。郷土料理の山賊揚げ(定食1050円)は、ニンニクなどを使った独特のタレを漬け揚げにした鶏モモ揚げ。満腹なので、この次にしようと断念した。

 岡谷JCTで中央道(東京方面)を選ぶと、眼前には凍って真っ白な湖面の諏訪湖が広がった。景色にひかれて諏訪湖SAに寄る。諏訪湖を見下ろすロケーションは最高。八ヶ岳連峰の山々も絶景である。

 さてこの諏訪湖SAの魅力は絶景だけではない。信州牛、信州ポークといったブランド肉が楽しめる上、「馬刺し」「笑い栗」「氷もち」「諏訪湖豆」「伊那ローメン」「ソースカツ丼」などの個性的な信州グルメが満載。もちろん名高い「信州そば」「あんず」「野沢菜漬」などもある。

 中華まんの変わり種「ソースカツ丼まん(390円)」「ローメンまん(300円)」にもひかれたが「ダチョウの串焼き(400円)」を食べる。ちょっとした臭みを感じるものの、肉質は柔らかくおいしかった。

広くはないが座敷があり、くつろげる(撮影:北澤強機)
 諏訪湖SAの最後にして、最大の楽しみは温泉だ。もちろんサービスエリア内にある(午前10時~午後9時まで)。入浴料は全部で595円(入浴料500円+消費税25円、入湯税70円)。

 男湯は、カラン10個に浴槽2つのこぢんまりした温泉だが、源泉温度93.5度という高温と、諏訪湖や八ヶ岳を一望できる展望風呂であることが魅力。タオルさえあれば、シャンプーや石鹸は備え付けられている。オートバイの長時間走行で冷え切った身体だったが、ここで芯まで温まった。……腹ごなしにもなった。

諏訪湖SA~双葉SA~相模湖IC

 山梨県に入ったとたん、眼前に美しい富士山がそびえた。日本の高速道路、最高標高という看板があり、ここから下りがつづくことを理解する。休憩に入ったのは双葉SA。入り口、建物内、あちらこちらに「ラーメン」と書かれている。ここはまるで「ラーメンSA」だ。

全国津々浦々のラーメンが集まっている(撮影:北澤強機)
 全国のご当地ラーメンのお土産が買える。沖縄から北海道までのご当地ラーメンがそろう。そしてもちろんこの地のラーメン「双葉ラーメン(650円)」と、ご当地のヒーロー山本勘助ゆかりの勘助味噌(ちょっと豆板醤みたいな感じの辛味噌)を使った「辛味噌ラーメン(700円)」も楽しめる。

 双葉ラーメンを注文した。すると、どんぶりをもって現れたのは、ひと目でそれとわかるインド人(!)。混んでいたのでインタビューはできなかったが、このSAは、ラーメンとともに「インド人が作る本格カレー」が売り物らしい。ナンやライスで本格的なカレー(700円~)を楽しめると、高速道路情報のフリーペーパーにも書いてあった。

 ひととおり武田信玄グッズを眺めた後、けっきょく定番の「桔梗信玄餅(800円)」を買った。このほかに、甲府の名産の水晶を使ってできたカブトの置き物(18万円)や、鹿革を使った工芸品各種などが目にとまった。

イルミネーションでムードばっちり。もっと暗かったら、キレイだったのになぁ。きっと(撮影:北澤強機)
 そろそろ夕焼けの時間。最後の立ち寄り先は談合坂SA。そこで待ち受けていたのはかわいいイルミネーションだ。「ハイウェイ・デライト」と名付けられ、ケータイでこのイルミネーションを撮影して送ると、仕事運、金運、健康運、恋愛運などを占うおみくじが引けるサービスをやっているらしい。デートコースにはぴったり!?

 いよいよ相模湖インターチェンジに下りるときがきた。八王子インターとの間には相模湖東インターチェンジというのもあるが、上り方向に出口はないため、ここが八王子直近のインターチェンジとなる。ETC出口を通過すると、表示された金額は300円。じつは八王子とこの相模湖の間にはSAやPAはない。つまり、ここまで通ってきた大回りではなく、普通に行けばこんなに時間がかかることはありえないことになるのだが。

 インターチェンジを降りた先でUターンして、いまいちどスタートした八王子まで行く。約10分で到達。料金は当然ながら300円。約470キロを走り、高速代は600円だったということだ。
300円の文字。通勤時間割引も適用されている……(撮影:北澤強機)

まとめといいわけ

 さてさて、高速道路を降りなくても、いろいろと楽しめることはご理解いただけたと思う。よくよく考えてみると、東京から東名高速を通って小牧JCTから中央道を通り土岐JCTから東海環状で東名に戻るというコースもあるし、それ以外でも全国にはさまざまなループコースがありそうだと気がつく。

 私はこの記事を書くにあたって、このループ走行が違法か、そうでないまでも詐欺的とか、反社会的かどうかに心を痛めた。そうでなくてもオーマイニュースにコメントをする人たちはきわめて道徳的な人が多いと感じる。ちなみに私はこの人たちのことを他人に説明するときに「尾崎豊の歌を聴いて『バイクを盗むのは犯罪だ』とか『夜中に学校の窓を割るのはいけない』とかいいそうな人たち」という表現を使っている。

 高速道路料金の根拠が「車両の重量によって路面を傷める割合」だとしたらオートバイなんてもっと、もっと安くていいはずだ。目的地に到達するまでの時間だとしたら、渋滞したときには返金すべきだ。どんな主張があっても、この行為を肯定する理由にはならないという人もいるだろう。それをわかった上で、私はあえて「庶民のささやかな楽しみなんだから、目こぼししてもらっていいだろう」と考えて、この記事を投稿する。

 先に謝っておくとするか。ごめんなさい。

※1 ETCによる夕方の通勤時間割引料金を利用。


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