2月11日は国民の祝日「建国記念の日」。「建国をしのび、国を愛する心を養う」というのが趣旨である。 ▽戦前はこの日を「紀元節」といった。小学校で行われる祝日の式典に出るのに、朝早く霜(しも)の光る道を急いだものだった。学校では《雲にそびゆる高千穂の―》と紀元節の歌を歌った。 ▽「紀元節」は、神武(じんむ)天皇の即位日として、1872(明治5)年に明治政府によって祝日と定められた。この神武天皇については「記紀伝承上の天皇」と広辞苑にある。 ▽1948(昭和23)年、国民の祝日法制定で、日本国憲法の理念にふさわしくないとして廃止されたが、1966(昭和41)年の祝日法改正に基づいて、この日が「建国記念の日」として復活したのである。 ▽世界の建国記念日をみると、アメリカは7月4日で、1776年イギリスからの独立宣言の日である。中国は国慶節として10月1日。1949年、当時の毛沢東主席が天安門で建国宣言をした日である。フランスやイタリアにあるのに、イギリスにはそれがない。 ▽「国民の祝日」というからには、国民みんなが祝い合う日だろうが、日本ではそれぞれの考え方から、賛成や反対の集会があちこちで開かれる。祝日は単なる休日ではない。次代を担う子供たちにいろいろな意見を示して、この日について考えさせる必要があるのではないだろうか。(香)