[Di]毎日新聞が2ちゃんねる「死ぬ死ぬ詐欺」などの「祭り」を大々的に批判

トップページ> インターネット > 2ちゃんねる関連 , 2007年01月01日

2007年1月1日付けの新聞で、毎日新聞が「2ちゃんねる」を大々的に批判する記事を掲載している。1面、2面、3面と掲載されているから、驚きである。

毎日新聞 2ちゃんねる批判
(写真:毎日新聞)

この記事はインターネットで読むことも可能で、「ネット降臨」という名前でMSN毎日インタラクティブに掲載されている。今回は、この記事に関して具体的に考えてみよう。

 ◇「また死ぬ死ぬ詐欺ですかw」「NHKキタ−−−(゜∀゜)−−−!!!!」…2ちゃんねる上、匿名攻撃

「死ぬ死ぬ詐欺」というのは、確かに2006年結構話題になった。うちのサイトでレポートしたことはあっただろうか?その内容は、「最近街頭でよく『子供を助けるために1億円募金してください』などとやっているが、あの募金を集めていた親がめちゃくちゃ高い車を買っていたりする。あれってもしかして、募金から出ているんじゃないの?募金の会計処理がきわめて不透明で、募金者に対して礼儀を尽くしているとはいえない。また、募金を集めて臓器移植を米国で行うと言うことは、臓器の提供待ちの順番に金の力で割り込むようなことで、現地の人々に多大な迷惑をかけているのではないか?」というものである。

内容としてはいたってまともなのではないか、と僕は考える。確かに、2006年に行われたある募金では非常に不透明な会計処理がネット上で話題となった。親が主宰するブログでは高級外車を乗り回す様子が公開され、また余剰金をすぐに別団体へ寄贈することもなく、自分たちで持ち続けている不可解な行動が問題視されたためだ。では、毎日新聞は何を問題としているのか。それは2ちゃんねるの持つ「負」の側面である。しかし、毎日新聞はその負の部分しか報道をしていないのだ。

2ちゃんねるを中心とする「祭り」にはよい側面と悪い側面がある。よい側面は、新聞社や当事者が決して公開しない情報を真に求めることが可能であることだが、悪い側面は当事者の個人情報がかなり深いところまでばらまかれてしまうこと、そして執拗に個人を攻撃する愉快犯じみた人間も少なからずいると言うことだ。こういった歯止めのきかない傾向は、確かに「電車男」の公開以後行われた祭りに特有となってきた。僕自身、以前から有名なコピペに対してマジレスするような人間がこのあたりから増えた気がしてならない。これがインターネットの持つ負の側面であることは確かなのだ。
しかし、この毎日新聞の内容、つまり「2ちゃんねるは暴走して見境なく他人の個人情報を愉快犯的にばらまく存在である」ということが必ずしも事実であるわけではない。この「死ぬ死ぬ詐欺」の祭りに関しても、「さくらちゃん死ね」などと書いていた人間はごくごく少数派で、それらの多くが「子供は何も悪くないだろ。悪いのは親だ」などと批判されていた。2ちゃんねるは一つの意見を持った集まりではなく、多様な意見を持った複数の人間がいることを、毎日新聞は忘れているのではないか。

ここで改めて、具体的な事例である「さくらちゃん」の件に関して踏み込んでいきたい。

 NHK勤務の父昌広さん(54)と母和子さん(45)が記者会見で職業を「団体職員」と公表したことも災いした。後でNHKと答えたが、手遅れだった。「NHKキタ−−−(゜∀゜)−−−!!!!」と顔文字を付け、はやし立てる。「高給取りを隠して同情を買おうなんて詐欺だな」

 両親が借金などでねん出した3000万円の自己負担を公表しても攻撃はやまない。ローンが残る住宅しかないのに「十数億円の資産がある大地主」と虚偽の情報が書き込まれた。自宅の登記簿や写真もネット上にさらされた。「だまされて募金したので返してほしい」。救う会にはメールや電話が続いた。
 「裸で歩いているような恐ろしさ。眠れない時もありました」。和子さんは家の前で携帯電話のカメラを構えた人影を忘れられない。「親ですから娘が救われるのなら構いません。でも支えてくれる人たちが疲れていくのを見るとつらい」。目が潤んでいた。

祭りになるためには、祭りになる原因がある。そのことを、毎日新聞は全く書いていない。ということで、その点に関してまとめてみる。
さくらちゃん募金で問題になったのは、上の引用記事内で述べられていることに関して反論するとすれば、以下の通りである。

  1. どうしてはじめ「団体職員」を名乗り仮名を使っていたか
  2. どうして初期の段階で両親から募金がされていなかったのか
  3. 両親の資産は2ちゃんねるでの批判を受けるまでなぜ公表しなかったのか

また、ほかにも以下の点が問題視されていた。

  1. それまでに行われた募金活動の不透明な会計状況。
  2. 募金の主宰団体に対する不信

毎日新聞はこういった点を全く記していない。その点で、2ちゃんねるが偏っているのと同様に毎日新聞もさくらちゃん側に偏りすぎているのではないか、と思う。2ちゃんねるに公平さを要求したいのであれば、毎日新聞も公平な存在とならなければならないのではないか。この件では、「実際には資産を持っている人間が、資産を持っていることを隠して他人に頼っているのではないか。しかも、その他人からもらった募金を好き勝手使っているのではないか」という憶測があった。それは、以前に行われた募金では「デポジット」、つまり後に返却される一時金が保護者によって「その後の生活費用」として使われたり(そもそも募金はそいつの生活を支えるためにやっているのではない)、高級外車の購入に充てられたりした事例があったからだ。また、NHKのチーフプロデューサーといえば年収1000万円を超える富裕層だ。そういった富裕層が自らの情報を開示しないで不透明な募金活動を行うことに反発が出るのは当然だ。「本当に資産があるのか」という調査が行き過ぎて、個人情報の暴露につながった。そういった経緯を、毎日新聞は何も書かない。だいたい、このような不明瞭な会計が続けば募金という制度全体の信頼性が大きく揺らぐことになるのではないか?

公正な報道というのは、「2ちゃんねる側はxxxxxxxxと主張しています。さくらちゃん側はxxxxxxxと主張しています。その中で、毎日新聞としてはxxxxxだととらえました。」とかそういうものを言うのでは、と感じてしまう。両者の主張を公平に記した後、新聞社としての見解を述べるということである。

 年の瀬の東京・渋谷。記者はネット上のハンドルネーム(HN)「がんだるふ」を名乗る男に会った。元大手フィルムメーカー社員。今はイベントプロデューサーという。58歳。募金批判の中心人物だ。

さらに言ってしまえば、この「がんだるふ」という人間は2ちゃんねるのコテハンではなく、mixiで運動をしていた人間である。なぜ2ちゃんねるの文脈で、2ちゃんねる以外の人間を持ってくるのか。情報操作のような感じを持ってしまう。

以下は別の件に関しての記載だ。

 きっかけはブログの日記。内容が「非常識」と非難され、2chにスレッドが立った。「久々のエサなんだ。個人データを洗い出すんだ!」。日記には本名を出していない。なのにその日のうちに名字や夫の勤務先の電話番号が暴かれた。住所も特定され、自宅の写真がネットに流された。

これに関しても、「非常識」とされた内容が全く記載されていない。おそらくこれは「スッチー祭り」のことを指しているのだと思うが、これはトラブルを引き起こし下の空港へ戻ることとなったANA機に乗っていた女性が、フライトアテンダントが「危険を伴うため子供を抱きかかえてください」と通知したことに逆上、「子供が寝ているから」といってそれを拒否し、さらにフライトアテンダントを土下座させ、挙げ句の果てにそれを無視してANAに抗議を行い、その一部始終を誇らしげにブログに記載したというものである。こういった内容を全く挙げずに記事を書くとは、毎日新聞、何がしたいのか?

1月1日に毎日新聞が盛大な「2ちゃんねる批判」を行ったのは、2ちゃんねるの存在を毎日新聞が認めたくないからであろう。今、深刻なメディア離れが進んでいるという。その中で2ちゃんねるは「真のソース」を求める場として機能してきた。個々人はメディアの行う報道とは別個に、報道から隠された「本当の事実」を探し求めたのだ。その中で引き起こされた負の側面が「異常なまでの個人への誹謗中傷」である。
しかし、毎日新聞はこの前者、つまり「なぜ個人への誹謗中傷が起こるのか」を全く明記していない。また、2ちゃんねるには行き過ぎた誹謗中傷を制止する声が多数存在していることも無視している(たとえば、「ニュース速報VIP板」で行き過ぎた写真撮影を決行した「スネーク」に対しては、「ニュース速報板」から「やり過ぎ」「ガキは死ね」などの怒号が飛ぶ、など)。
個人への誹謗中傷は、真のソースを求める活動が生んだ負の側面である。では、なぜ「真のソース」を求めることが必要となってしまったのか?それはまぎれもなく、昨今のマスメディアへの不信感から起こることであろう。筑紫哲也は北朝鮮関係の報道を全くせず、朝日新聞は靖国参拝を大々的に非難する。こういったメディア批判に対して、メディアは何の対処もしない。ただただ紙面を利用して自分たちの擁護をし、自分たちを変革しようとはさらさら思わない。事実、毎日新聞が今回あげた「死ぬ死ぬ詐欺」「スッチー祭り」に関しても、毎日新聞は2ちゃんねる側の意見を全く汲もうとしない。
中立なメディアというものは、存在しなくなってしまった。いや、元からなかった「中立」というものが、幻想であることがついに証明されてしまった、といったほうが正しいだろうか。「もしかしたら偏っているのかもしれない」という意識から、「実際に偏っているんだ」という意識への変革である。それはインターネットの普及によって、多くの人間が「マスコミが報道している内容は、マスコミに都合よく捜査しているのではないか」と思うようになったことから引き起こされた。さらに、それを証明するような事例がぼろぼろと出てきてしまった。小さな事例はインターネット上では消えることがなく、それが積み上がってメディアへの不信感につながる。そんな中、自分たちで「裏側」を探ろうとするのが2ちゃんねるの行動である。マスコミが中立な視点からの報道を行わないことが、そして「公平なデータ」を公表しないことが、毎日新聞の問題視する上記の行動につながっていると言うことは、紛れもない事実なのではないだろうか。そして残念ながら、今回の記事においてはその「不公平さ」を毎日新聞自らが証明してしまっているのだ。

追記(07/1/4)

以下はアクセス解析からの引用。

Mainichi

・・・。


投稿者 admin : 2007年01月01日 16:02 | このエントリーを含むはてなブックマーク | この記事をクリップ!

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