中国製ギョーザ中毒事件が、在日中国人社会に影を落としている。中国食料品店の中には日本人の客足が遠のいた店もあり、今夏の北京五輪を控え、日中友好ムードの高まりを期待していた関係者は戸惑いを隠せない。「過剰反応は控えて」と、インターネット上などでアピールする動きも始まった。
「日本人の客が、ぱったり来なくなった」。東京都豊島区のJR池袋駅近くの中国食料品店「池袋陽光城」。にぎやかな通りに面した24時間営業の店内で、朱我玄店長(40)は嘆く。
店の冷蔵庫の半分をギョーザが埋めるが、人気商品だった山東省製の冷凍水ギョーザの売り上げが落ち、1日に段ボール箱5箱前後が売れ残るようになった。
広がる中国製食品への不信感に、在日中国人の情報誌「日本僑報」編集長の段躍中さん(49)のように、中国人の声をアピールする動きも出始めた。段さんは自身のブログなどに「公開状」を掲載、日本のメディアや企業に過剰な報道や反応を控えるよう求めている。
段さんは「中国や中国人そのものに対する不信感が大きくなるのが一番怖い。日中関係が改善しつつある中、過剰に反応されたくない中国人の心情を理解してほしい」と話す。