自国の首相の動向より、米国の大統領選候補者の話題の方が華々しく報じられる昨今である。流行に敏感な若者や国際通を自任する評論家に劣らず、わがマスコミも米国好きである 本番の大統領選はまだまだ先なのに、向こうの大騒ぎに「追従」するのは、いささか見苦しい。自戒を込めてそう思うが、華やかさに欠ける福田首相にもその一端はあろう。その首相が先週末の国会で珍しく大見えを切った。ギョーザ中毒事件は原因究明が「核心に迫ってきている」。慎重居士の発言だから、程なく急展開があるに違いない 不思議なのは、中国が沈黙を続けていることである。対岸の大騒ぎをまるで意に介していないのか、それとも語るに語れぬ事情でもあるのか。しかるべき筋からあいさつ一つないとは、ほめられた近所付き合いではない 冷凍食品に限らず、中国製品への逆風は強まるばかりである。自国の利益を考えれば、弁明や謝罪があってもよいのに、聞こえてくるのは下っ端役人の知らぬ存ぜぬのたぐい 愛想を振りまかれるよりも、黙りこくられる方が厄介である。人の付き合いでも国同士のそれでも、同じであろう。
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