全国の食卓に不安を広げた中国製冷凍ギョーザによる中毒事件。厚生労働省によると、問題のギョーザと同じ工場で作られた食品を食べた人たちなどから保健所などに寄せられた健康被害の訴えは、9日現在で2745人に達した。
医療機関を受診した人も884人に上るが、有機リン中毒と断定されたのは、千葉と兵庫の3家族10人以外にはいなかった。被害は10人だけなのか。専門家は「微量の有機リンが原因の軽症患者が見逃された可能性はあるが、過敏になった人も多いのでは」と指摘している。
「有機リン中毒が疑われる患者がいる」
事件発覚から2日後の2月1日午後、静岡県内の保健所から入った連絡に県食品衛生室で緊張が走った。中国製冷凍食品を食べた50歳代の女性が吐き気や舌のしびれを訴えているというのだ。県は輸入元のジェイティフーズを監督する東京都と厚労省に連絡、都は緊急記者会見も検討したが、血液検査の結果、有機リン中毒の疑いは否定された。
中毒事件発覚以降、各地の保健所には続々と健康被害の相談が寄せられた。発覚3日後の2月2日時点で計946人だった被害の訴えは、5日には2000人を超えた。このほか、中国製冷凍食品に関する相談や不安の声も含めた報告・相談数は9日現在で約5000件に達している。
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