生協「安全」の看板揺れる──ギョーザ事件で信頼回復に躍起2008/02/09配信
中国製冷凍ギョーザの中毒事件に絡んで、「安心」「安全」を売り物にしてきた各地の生協に苦情や抗議が殺到している。殺虫剤が混入した商品を流通させた上、公表が遅れたことへの批判も。「裏切られた」と脱退を申し出る組合員も出てきた。各生協は独自に加工食品の産地を公表するなど信頼回復に躍起だ。
「国産って書いてあるけど本当なの」「この商品は大丈夫?」。大阪市北区のマンション駐車場。共同購入の商品を届けに来た「おおさかパルコープ」(大阪市都島区)の女性職員(51)に、集まった主婦らから厳しい口調で質問が飛んだ。 千葉県で中毒被害を出した「CO・OP手作り餃子」は販売していなかったが、配送先に着くたびに説明を求められ、配送スケジュールは遅れがち。「せめて原因が分かれば、自信を持って説明できるのに……」。職員は疲れ切った表情を見せた。 「大阪いずみ市民生活協同組合」(堺市)は1日約2000件の電話に対応するため、苦情や問い合わせに応じる担当職員を2倍の40人に増員した。安全性を確認する内容が大半だが、「信用できない」と問題発覚から5日間で約30人の組合員が脱退した。広報担当者は「不信感が生協全体に広がっている」と肩を落とす。 「手作り餃子」を販売していたのは全国66生協。中国・天洋食品製の商品を扱っていない生協も多いが、消費者の目には同じに映る。「生協歴20年以上」という大阪市の女性(50)は「取り扱う商品が増えて便利になった半面、安心・安全の理念が希薄になった」と脱退を決めた。 各生協は不安を払拭(ふっしょく)しようと懸命だ。「コープきんき事業連合」(大阪市)はシューマイや焼き鳥など約1300の加工食品について主な原材料の産地をホームページで紹介。「生協都市生活」(兵庫県西宮市)は共同購入のカタログと一緒に「天洋食品の製品は扱っていない」というチラシを配る。 自前で検査部門を持つ「コープこうべ」(神戸市)は、回収した中国製の冷凍食品に殺虫剤「メタミドホス」などが含まれていないことを調べ、結果を公表し始めた。担当者は「事実をすぐ公にすることが信頼につながる」と話す。 一方で、逆風が追い風になった生協も。主原料が国産の食品が8割超を占める宅配・共同購入専門の「コープ自然派事業連合」(大阪市)には、この1週間で30人以上が新規加入した。普段は月に数人程度だった。担当者は「一連の中毒事件を機に多少のコストや手間より安全を選ぶ人が増えたのでは」と話している。
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