進んで回収せず コープあいづ、対応の甘さ浮き彫り

 福島県喜多方市のコープあいづが販売した「CO・OP手作り餃子」から有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出された問題で、同生協が最初の苦情を受けて店頭から商品を撤去した昨年11月以降、店頭販売した商品を積極的に回収しなかったことが8日、分かった。回収を知らない購入者が商品撤去後に保存していた同商品を食べて体調不良を訴えた事例も明らかになっており、同生協の対応の甘さがあらためて浮き彫りになった。

 コープあいづは8日夜にようやく、販売履歴データをもとに購入者に電話するなど、問題の商品の探し出しと健康被害の把握に乗り出した。

 ジクロルボスが検出された商品で異臭騒ぎがあったのは昨年11月10日。同生協は翌11日には全8店舗から商品を撤去した。その後、日本生活協同組合連合会による検査で、ギョーザからトルエンなどの化学物質が検出された。

 8日に記者会見した同生協の吉川毅一店舗運営部長は「店舗に返品に訪れたり、電話で苦情を寄せるなどした購入者への対応にとどまっていた」と対応が不十分だったことを認めた。

 ジクロルボスが検出された商品と同じ昨年6月3日製造の「手作り餃子」をめぐっては、同生協の喜多方市の店舗で昨年10月に購入した市内の家族3人が12月下旬に食べ、腹痛などの症状を訴えた。店頭で購入した「手作り餃子」を11月の商品撤去後に食べ健康被害を訴えた例は、県の調査でほかにも判明している。

 吉川部長は「昨年11月の時点では、通常の商品クレームと同じ判断をしてしまい、現在の状況を想定できなかった。一両日中に確認作業を終わらせたい」と釈明した。

 コープあいづによると、昨年6月3日製造のギョーザが最初に入荷した昨年9月21日から店頭販売を中止するまでの間に、「手作り餃子」を購入した来店客は延べ259人。販売した計301袋のうち6月3日製造は237袋だった。8日までに回収した12袋を除く225袋について、購入時に提示された組合員カードのデータを基に個人の特定を進める。

 一方、共同購入で販売した6月3日製造のギョーザは、昨年9月第2週と、10月第2週に宅配した計22袋。11月末までに販売したすべての「手作り餃子」のうち、6日までに6月3日製造の1袋を含む106袋を回収した。

◎店舗と宅配事業「意思疎通不足」 コープあいづ釈明会見

 コープあいづ(喜多方市)が販売した中国製ギョーザから有機リン系殺虫剤が検出された問題で、同生協が店頭販売中止後も共同購入の宅配販売を先月末まで続けていたことについて、猪俣俊文共同購入事業部長は8日の記者会見で、「中止の時点で(店舗事業本部から)連絡があれば対応を協議できたかもしれない」と述べ、組織間の意思疎通が不十分だったとの見解を示した。

 猪俣部長は「(宅配事業を統括する)サンネット東北からの指示がない以上、こちらからはどうこうできない」とも述べ、縦割り組織が抱える問題の難しさをにじませた。

 吉川毅一店舗運営部長は「購買者にとっては、店舗だろうが宅配だろうが、コープはコープ。今後の対応を考えたい」と語り、コープあいづ全体で改善策を協議する考えを示した。
回収の遅れを釈明するコープあいづの吉川部長(右)=8日、喜多方市内
2008年02月08日金曜日

福島

社会



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